投稿日時: 2002-08-01
通常国会あけの8月初旬、南米ボリビアの大統領就任式に出席するため、政府特派大使として派遣されました。2年前から日本ボリビア友好議員連盟の会長を務めている縁からで、特派大使の役目は1999年にエルサルバドルへ行って以来2回目です。
日本のちょうど裏側にある最も遠い国で、成田から首都のラパスまで、飛行機をロサンゼルス、マイアミと2回乗り継ぎ、26時間もかかりました。
ボリビアは人口827万人、日系人は13500人、国民の55%は先住民(インディヘナ)で、混血を含めると実に9割に先住民の血が流れています。国土は日本の約3倍。しかし先住民の多くが伝統的な農耕生活を営み、コカの栽培の是非をめぐって政治的紛争が続いています。
国民一人当たりのGNPは年1千ドルで、南米最貧の発展途上国です。首都ラパスはアンデス山中の標高3700メートル、富士山と同じ高さの地にあり、酸素は平地の3分の2、動くと息切れがする大気の薄さを身を持って体験しました。
サンチェス・デ・ロサダ新大統領は72歳。国内有数の鉱山企業のオーナーで、私も私邸で会見しましたが、学者のような静かな物腰で、練達の政治家という印象でした。
既に93年から97年まで大統領を務め、市場開放、民営化を進めてきた実績もあり、経済の立て直し、貧富の格差解消、コカ栽培の是非などの課題が山積しています。
新大統領との会見で私は、今年2月のラパスにおける集中豪雨、6月のポトシ県での寒波による被害へのお見舞いを申し上げ、ボリビアの国づくりを支援するため、医療、保健、教育など基礎生活分野、および貧困対策、道路・橋梁などのインフラ整備、環境保全を重点分野に協力を惜しまないことを伝えました。
大統領就任式は議事堂であり、私は2階の外国使節席に列席しました。民族衣装の先住民議員がシュプレヒコールを叫ぶなど緊迫した雰囲気で、国内情勢の複雑さを示していました。
首都ラパスから車で2時間のところに、BC700年からAD1200年まで続いたティワナク文化の遺跡があり、見学しました。石造の神殿や門があり、当時の栄華をしのびました。
チチカカ湖の名は皆さんもご存知でしょう。標高3800メートル。琵琶湖の12倍もある大きな湖です。季節は冬。寒風が吹きすさび、はるかに雄大なアンデスの6千メートル級の山々が連なる中で舟遊びを楽しみました。荒涼たる平原には放牧のアルパカが群れていました。
日本の中南米へのODAは対ボリビアがトップで、親日感情は非常に良い国です。ボリビアの経済再建と日・ボ友好の発展強化のためにさらに力を尽くします。
(写真はサンチェス・デ・ロサダ新大統領と自見庄三郎)
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