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じみ庄三郎チャンネル

自見庄三郎 活動記録

これまでの記録6 (旧HP メッセージ)

中国の環境フォーラムで基調講演-日本の環境政策を説明

講演の全文を以下に掲載します

第1回曹妃甸(ツァオフェデアン)公開討論会基調講演

2009年10月17日、中国・河北省唐山市の曹妃甸(ツァオフェデアン)で開催された国際会議に招待を受け、「環境と経済発展の両立」をテーマとした基調演をしました。鳩山首相が表明した「2020年までに1990年比25%削減」政策を与党幹部の立場で説明。わが国の環境政策の歴史や、私の出身地・北九州市の公害克服の経験を述べました。中国とわが国は地球環境の保全に関して協調して政策を進めるべきことを強調、共感をいただきました。

ご紹介いただきました自見庄三郎でございます。本日は、第1回曹妃甸(ツァオフェデアン)公開討論会でスピーチをする機会をいただき、誠に嬉しく思います。また、この会議の実施に当たり御尽力された唐山市はじめ関係者各位に敬意を表します。

はじめに:地球温暖化対策の中期目標

皆様もご承知のことと存じますが、日本においては、8月末の衆議院選挙において政権交代が実現し、我が国民新党も与党の一員として、山積する重要課題に対処すべく、日々職務に邁進しているところでございます。なかでも、地球温暖化問題をはじめとする環境問題への対応は新政権の重要課題の一つです。

その意欲の表れとして、先日、ニューヨークで開催されました「国連気候変動首脳会合」におきまして、鳩山内閣総理大臣から、すべての主要国の参加による意欲的な目標合意が前提となりますが、温室効果ガス排出量を「2020年までに1990年比25%削減」するという中期目標を約束いたしました。

この中期目標につきましては、産業界の一部に、「日本の経済成長を阻害するのではないか。」といった懸念もあります。しかしながら、気候変動問題への積極的な取組みは、電気自動車、太陽光発電を含むクリーン・エネルギー技術などの新技術の開発・普及、新規の雇用を提供します。そして、日本の企業が有する高い技術力と、これまで環境と経済の両立を進めてきたノウハウをもってすれば、必ず達成できる目標であると確信しております。

わが国の環境対策の歴史①:水俣病

さて、「日本は環境と経済の両立を進めてきた」と申しましたが、その過程は平坦なものではなく、そこに至るまでは様々な紆余曲折がございました。皆様が、今後、環境と経済の両立についてお考えになる際の大変良い参考になると思いますので、いくつか日本の経験をこの場で申し上げたいと思います。

その一つが、世界でも最も深刻な公害経験とも言える水俣病です。

水俣病は、メチル水銀化合物により主に中枢神経に障害が起きるもので、全身がけいれんし、死に至るような重症の患者も生じるなど大変に悲惨な公害です。水俣病は、熊本県水俣市に立地する工場が生産工程で生じる水銀化合物を含む排水を水俣湾に捨てていましたが、これによって汚染された魚を長い間多量に食べたために起こるもので、1950年代に水俣病が公式確認されました。

対策を早い時期に取れば被害は防げたと考えられましたが、第二次世界大戦後の経済発展を急ぐあまり、対策が後手に回り、結果として大きな被害が発生してしまいました。被害者の方々には、補償金が支払われています。しかし、今なお、自らが水俣病ではないかと疑う住民もいらっしゃるくらいで、大変大きな傷跡を地域社会に残しています。

私たちは、この水俣病を通じて、開発に当たっては目先の利益だけを追い求めるのではなく、先を見越して、環境を守りながら発展を目指すことが重要であることを学びました。環境対策の費用を節約したつもりでも、そのツケは将来何倍、何十倍にもなってまわってくること、そして何より、多くの苦しむ被害者を生み出すことを忘れてはいけないのです。

我が国の環境対策の歴史②:公害規制の強化

それでは、目先の利益を減らし、環境を守ることにお金を費やしても大丈夫なのでしょうか。将来は良くても今の生活に困ることはないでしょうか。この点に関しても、日本のかつての経験の中で参考になるものがあります。

それが、水俣病などを教訓として、1970年代初めから強化された公害対策です。 具体的には、1970年末の臨時国会で、公害問題に対する集中的な審議が行われ、14本もの法律が成立いたしました。我々は、この国会を「公害国会」と呼んでおります。この公害国会で成立した法律に基づき、公害対策の目標となる環境基準が設けられ、その達成を目指して段階的に規制が強化されました。

このようにして進められた厳しい公害対策に多くの経費が払われてきましたが、それにもかかわらず、日本の経済は順調に発展していきました。我が国の戦後復興と高度経済成長は「日本の奇跡」と言われることがありますが、多額の公害対策をしながら経済発展をした経験のことを「日本のもう一つの奇跡」と呼ぶ人もいます。 私の地元は、この中国にも近い福岡県北九州市でございます。北九州市は製鉄業を中心に重化学工業地帯として発展いたしましたが、先の水俣市と同じで、それまで経験したことのない公害問題を経験いたしました。1960年代には、大勢のぜんそく患者が発生した上、洞海湾にも工場からの未処理排水や生活廃水が流れ込み、大腸菌でさえ棲めない「死の海」と言われていました。

しかしながら、市民、企業、研究機関、行政、政治という地域社会の関係者が一体となって公害対策に取り組んだ結果、かつて七色の煙と言われ、日本一の降下ばいじんを記録した空も青く澄みわたり、1987年には、当時の環境庁から、星空が大変きれいな町として「星空の町」に選ばれるまでになりました。また、「死の海」と言われた洞海湾も、水質が大幅に改善され、今まで100種類を超える魚介類の生息が確認されており、多くの野鳥も飛来しています。

我が国の環境対策の歴史③:自動車産業の発展と公害規制

加えて、今日の日本の自動車産業の発展にも公害規制が強くかかわっています。

1970年代初め、アメリカでは、深刻な大気汚染に対処するため、「大気清浄法」(いわゆるマスキー法)が成立したものの、自動車排出ガスの9割削減を目指すという規制の実行は不可能であるという自動車業界の反発を招き、実施に関して延期及び緩和措置がとられました。

一方、日本は、自動車産業の対外的競争力を失わせるという強い反発もありましたが、早期に「マスキー法」と同様の排出ガス規制が導入されることになりました。こうした厳しい排出ガス規制に加え、オイルショックも重なり、これらに対応すべく低公害かつ省エネ型の技術の開発が進みました。その結果が、現在の100年に一度と言われる経済危機の中で、日本の自動車産業が生き残り、発展を遂げた大きな要因と言っても過言ではありません。

我が国の環境対策の歴史④:まとめ

以上申し上げたように、日本は、水俣病に見られるように、対策が後手に回り、環境面のみならず経済面でも多大なるマイナスを被る一方で、これを教訓に、厳しい公害対策の結果として、環境保全はともかく、新しい技術や環境にやさしい製品が生まれ、経済にプラスになるという貴重な経験をしました。このことは、お集まりの皆様にも、環境と経済の両立を目指す上で参考になるに違いありません。

環境が経済を牽引する時代へ

今まで環境規制の強化が経済にもプラスの効果を与えることをいくつかの事例を交え、説明してまいりましたが、近年、「環境と経済の両立」の関係に変化が見られます。

つまり、現下の経済危機の中で、これまではあまり考えられなかったことですが、各国で提唱されているグリーン・ニューディールやグリーン・ジョブに現れているように、環境対策への期待がかえって高まっております。すなわち、地球温暖化対策などの環境への取り組みが経済を牽引し、環境ビジネスがきわめて大きな需要が見込まれる成長分野として期待されるようになっております。環境省が行った試算では、日本の環境ビジネスが、市場規模にして、現在の70兆円から2020年には120兆円程度になり、雇用規模についても、現在の140万人が280万人程度になることが期待されるとしております。

最近の施策事例①:エコポイント制度

こうした観点から、日本で最近実施した施策をいくつか紹介させていただきます。

その一つが、エコポイント制度というものです。これは、家電製品の中でも二酸化炭素排出量の多いテレビ、エアコン、冷蔵庫のうち、省エネ性能の優れた製品を購入した消費者に対し、価格の5~10%程度のエコポイントを付与し、このポイントをエコ商品、商品券や各地の産品などに交換できるというものです。これによって、省エネ家電の普及拡大による環境保全と景気対策の両方を促進しようとするものです。その結果、テレビの販売台数は、エコポイント制度が始まった5月から8月までの間、前年の同月比で3割から5割増加するなど、現在の厳しい経済状況の中で、景気の下支え効果を発揮しております。

最近の施策事例②:エコカーへの買い換え促進など

もう一つが、税制優遇や購入費用への補助を通じ、ハイブリッド自動車などエコカーへの買い換え促進を図っております。その結果、最近の各月ごとの販売台数の第1位は、ハイブリッド自動車となるなど、着実に成果をあげています。 そのほかにも、太陽光発電の整備や断熱化を施した省エネ住宅への支援、廃棄物・リサイクル対策なども積極的に講じております。

北九州市の取組事例

こうした国の取組のほか、各地方自治体でも独自のユニークな取組を進めております。その一例をして、福岡県北九州市の取組をいくつかご紹介させていただきます。

北九州市は、「環境で経済が大きく拓き、豊かな市民生活を実感できる」というコンセプトの下、低炭素社会の実現に向けて、様々な取組を実施しております。その成果は、日本の環境NGOが主催し、全国の自治体が参加している「日本の環境首都コンテスト」で2年連続1位を記録するなど、高く評価されています。また、昨年7月には、政府から「環境モデル都市」に選定されました。

北九州市における代表的な取組として、エコタウン事業というものがございます。 これは、あらゆる廃棄物を他の産業分野の原料として活用し、最終的に廃棄物をゼロにすること、すなわち「ゼロ・エミッション」を目指し、北九州市、地域住民、地域産業が連携し手、廃棄物の発生抑制・リサイクル推進を通じて、先進的な環境保全型のまちづくりを行おうとするものです。具体的には、臨海埋立地において、リサイクルを基調とする総合環境コンビナート、実証研究エリアを整備し、ペットボトルリサイクル事業、家電製品リサイクル事業等をはじめとした総合的な処理システムを構築するとともに、最先端の廃棄物・リサイクル技術の実証研究を行い、国内外の環境問題の解決に貢献しようとするものです。こうした取組が、環境保全だけではなく、地域の環境産業の振興を通じて、地域の経済発展につながっています。

また、北九州市は東アジアとも近いこともあり、環境分野での国際協力を推進しております。中国との関係で申し上げますと、北九州市の公害の克服経験やエコタウン事業の実績を活かし、天津市、大連市、蘇州市、青島市などの各都市との間で、人材や技術の交流を行うとともに、環境ビジネスの展開に関する調査などを協力して実施しています。 さらに、2000年に北九州市で開催された「アジア太平洋環境と開発に関する閣僚会議」において、「クリーンな環境のための北九州イニシアティブ」が採択されました。これは、アジア・太平洋地域の主な都市における都市環境の改善を、都市の自治体の間での協力により達成するものです。現在、北九州イニシアティブネットワークとして、アジア・太平洋地域の18カ国、62都市において、都市環境管理の成功事例の研究、パイロット事業の実施、セミナー等の開催など、積極的な取組が行われているところです。

結び

中国は、地理的にも経済的にも日本と密接な関係にあるとともに、アジア地域をリードする役割を担っています。その一方で、中国は、急速な経済成長を背景に、大気汚染、水質汚濁、廃棄物の不適正処理などの深刻な環境汚染が懸念されます。また、二酸化炭素の排出量の急増や廃棄物排出量の増大など、地球環境にも大きな影響をおよぼしつつあります。

そして、温室効果ガスの排出は言うに及ばず、適切な資源循環が行われず資源の浪費が行われることは、地球環境問題を通じ、我々にも大きな影響を与えます。また、環境汚染は、日本にも直接影響を及ぼすとともに、アジアの国々の経済発展を阻害することや、社会的な混乱につながり、それが日本の社会経済に大きな影響を及ぼす可能性が十分あります。

したがって、お互いが環境を通じた経済成長という成果を共有することによって、将来に向けて持続的に発展するようにしていく必要があります。そのためには、日本の環境汚染を克服した経験などを基に、中国の環境汚染対策と同時に地球温暖化対策にもなるような優れた取組の普及に向けて、互いに積極的に協力することが重要です。また、大臣級の政策対話など、環境汚染対策関係者による密な対話と連携が重要です。こうした取組が、将来にわたる密接な関係を作り上げる上で重要であると考えています。 今後とも、さらに交流を深め、難題ではありますが、環境と経済の両立に向けて、お互いに努力してまいりましょう。

長い間でしたが、ご静聴ありがとうございます。

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私の主張は正しかった米国発の世界金融危機が証明-「市場原理主義」は破綻小泉・竹中政権の「構造改革」は誤りだった

今回の世界的な金融危機は、これまで「米国を中心とした金融グローバリズム」の名で世界を覆っていた「市場原理主義」「小さな政府・規制緩和」政策の破綻をはっきり示しました。わが国でも小泉・安部・福田政権が強行してきた「構造改革」も多くの弊害が噴出し、国民生活を圧迫、地方を衰退させています。じみ庄三郎はこれまで「過度の規制緩和反対」「富の再分配・弱者にも配慮する政治」を主張する「真の保守主義」を掲げ、郵政民営化に反対するなど信念を貫いてきましたが、今こそその価値観・世界観・歴史観が正しかったことを、世界・日本の現況が示しています。

写真は、参院本会議で代表質問する自見庄三郎(2008年10月3日)

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真の医療危機は2008年10月に始まる

◇「政府管掌健康保険制度の公法人化」(3600万人が対象)が2008年10月に始まります。2006年6月の健康保険法の改正で「後期高齢者医療制度」(1300万人が対象)と共に自民党と公明党の強行採決で決定しました。

◇日本国民は「国民皆保険制度」(昭和36年制定)により、いずれかの健康保険に入ることを義務付けられています。

健康保険の種類は

A、サラリーマンの加入する保険

(1)組合管掌健保・・・大手企業の従業員と

その家族 1500の組合3000万人が加入

全人口の23.6%

(2)政府管掌健保・・・中小企業(5人以上)の

従業員とその家族 160万の事業所 3600万人

が加入 全人口の28.3%

(3)公務員の健保・・・国家・地方公務員とその家族

1100万人が加入 全人口の8.7%

B、その他の国民が加入する健康保険

(4)国民健保・・・自営業者、農林漁業者

・学生・定年になったサラリーマン等 5000万人が

加入 全人口の39.4%

◇(2)の「政府管掌健康保険」がどう変るのでしょうか?

現在は国が定めた全国統一の保険料率(給料の4.1%・・・月給10万円の人は4100円)で引かれています。

2008年10月以降は東京・神奈川・愛知などの豊かな、大きな都道府県と過疎地で財政が豊かではない 青森・鹿児島・沖縄などとの保険料の差は最初は緩やかだが、年次を経るに つれて格差が広がる 仕組みになっています。公法人を設立し、都道府県ごとに保険料率を設定します。政府が責任を放棄し、公法人にそれを 押しつけることと、医療費を削減することが大きな目的なのです。

◇これにより大都市と地方の格差がますます広がります。

今は「政管健保」に国から補助金が8200億円、出ていますが、政府が年に社会保障費を2200億円削るという政府の大方針(骨太方針2006)により国からの補助金が減る可能性が十分にあります。

その結果、中小企業のサラリーマンが払わなければならない保険料が高くなります。地方に住む中小企業のサラリーマンとその家族は生活が苦しくなり、高齢者(65歳以上の高齢者1700万人の主たる収入は公的年金だけ)、所得の少ない人たちは病気になっても病院にいきずらくなるでしょう。

◇等しくなければならない人の命が、本来の社会保障(自助・共助・公助)の目的から外れ、貧しい人はますます貧しくなる制度です。お金を持たない人は、よい医療が受けられなくても当然だ、という弱肉強食の市場原理主義のもとにつくられた冷酷な医療制度改革です。

保険料率は毎年、毎年変えていく法律になっています。2008年10月に公法人化されて、保険料率を変えていい事になっていて公法人の理事長がそれを決定します。

厚労省の意のままになる理事長に責任があるということ(責任転嫁)で厚生労働大臣の責任を外れるので国民の意志がますます反映できなくなります。

※ 政権交代が起これば厚生労働大臣が替わり法律の見直しもできますが、公法人の理事長が責任者であれば決定した後は変更する事が不可能です

法律を読んだだけでは、とても難しく理解できない事柄ばかりです。

私自身、医師であり医療現場を熟知しています。22年間衆議院議員をして大臣を経験し、1年間参議院議員をしているので国の政治のしくみ、官僚の人達がつくる法律が何を意味しているかが理解できます。

「後期高齢者医療制度」見直しの案が出ているようですが、この「政府管掌健康保険の公法人化」の内容を熟知して「後期高齢者医療制度」とともに見直し、廃止し、よりよい法律を作り直す必要があります。

私はこの事を私の政治家としての使命と思い、国民の皆さんとともにがんばっていきます。

参議院議員

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何かおかしい今のニッポン!

1.政治家不信

小学生に聞いた世の中でなりたくない職業は

(1)ヤクザ(2)政治家(3)金貸し

なんだそうです。

疑惑のある政治家はやめてもらわないとますます政治家不信が進みます。政治家が尊敬されない国は不幸です。

政治家の中にもまじめに一生懸命勉強している人もたくさんいます。お金の問題がいつもついて回っている疑惑のある政治家が居座り続ける国会というところと、それを許している有権者がいます。←何かヘンだよ

2.いじめ

郵政解散で意見の違う人は仲間外しをして「いじめる」という場面を、子供たちがテレビで毎日、見せつけられました。「僕たちも嫌な奴がでてきたらいじめてもいいんだ」と思いました。また悲しい自殺が増えました。1年間に約3万人の人が自殺しています。

子供たちでさえいじめたり、学校や家庭が面白くなかったり、将来に希望が持てず死を選ぶ子供さえいます。大変悲しいことです。

政治家や国の指導的立場の人が子供の見本となる、お手本となるような行動をしなければならないはずなのに、それが充分できていないというのは問題です。←何かヘンだよ

3.議会制民主主義

昔、イギリスに戦争が大好きで国民から取りたてた税金で、(国民は重税に苦しみ、草の根や葉っぱを食べて飢えをしのいでいたとき)鉄砲や刀などの武器を買いまくる国王がいました。国民みんながなんとかしてれと言いました。各地方から代議員を出して税金の取り方と使い方を決めるための会議をすることになりました。「代表なくして課税なし」これが議会制民主主義の始まりです。

政治は遅れた地域の振興を図り、弱い立場の人―――母子家庭の子供たち、病気やリストラで仕事につけない人たち、介護を必要としている高齢者の人たち、―――そういう人たちに光を当てるのが本来の仕事のはずです。今は少しずつ変化しています。←何かヘンだよ

4.格差社会

日本は以前は世界で1番、富める人と貧しい人の貧富の差がない先進国でした。大金持ちの人や所得の多い人からは昔は総合所得の約93%の税金を取っていたときもありました。小泉元総理以来、収入に関係なく高額所得の人でさえ所得税の最高税率は38%になりました。小泉元総理・竹中元大臣はすべて自由競争(市場原理主義に基づく)がいいんだという国の政治の方針で、政治が干渉しない「小さな政府」を目指しました。

このために貧富の差が拡大して格差社会になってきました。

これはソ連という共産主義の国がなくなり、冷戦構造が崩壊してアメリカの大企業に操られたアメリカ政治が暴走しはじめ世界の政治の力関係が激変して以来、こうなりました。

東京の六本木では自家用ジェット機を持ち、外車を乗り回すIT長者やマネーゲームの勝者がいる一方、地方都市では独居老人の孤独死があったり、生活保護を受けねばならぬ世帯が増加し、生活保護世帯は戦後初めて100万世帯増えました。←何かヘンだな

5.小さな政府

「小さな政府」「規制緩和」「市場原理」「官から民へ」というのは、アメリカの経済学者フリードマン(新古典派経済学シカゴ大学教授・東欧生まれのユダヤ系)が唱えたものです。この学問・学説をアメリカで学んできた竹中元大臣が小泉元総理とともに、強力に推し進めました。

ここにはアメリカの世界経済戦略の影が色濃くありました。

規制緩和は「規制をゆるやかにして自由に競争させる」政策で、小泉前総理の時の5年間でこの規制緩和が大きく進みました。この規制緩和は良い面と悪い面を持ち合わせています。「小さな政府」の政策が少し行きすぎて、国民の間にまんえんしている拝金主義とが相乗効果を示し、自由競争に任せてはいけない教育・医療・郵政・環境保全の分野にまで市場原理主義のやり方が入り込んでしまいました。←これはおかしな事です

6.冷戦構造の崩壊

1992年、ゴルバチョフの時の、ソ連という国がなくなってソ連共産党が崩壊しました。共産主義の本家本元でした。政治信条の違う自由主義と共産主義の対立がなくなりました。

そこでアメリカの資本主義がチェックされることなく暴走し始めました。植民地時代に行われていたような弱い人や遅れた国からしぼり取るような荒々しい資本主義になり、世界的に強者はより強く、弱者はますます弱くなりつつあります。小泉・竹中政治はこの動きをそのままそっくり受け入れたのです。

7.規制緩和(法律の縛りを緩めること)

ソ連崩壊後、アメリカの企業が自由に日本で経済活動をするために日本の規制が邪魔になりました。日本の大企業もさらに利益を上げるためにはやはり規制が邪魔になったのです。

そのため法律によって縛りがあったものを廃止したり緩めたりすることにしたのです。

その結果、最近では郊外に大型店舗が林立し、街の中の商店街はシャッター通りになりました。今まで歩いて行けた昔からの魚屋さん、八百屋さん、酒屋さんがなくなる所が増えてきました。若い人には大型店で安くて便利で品数が多い消費財が簡単に手に入るようになりましたが、反面、車を運転できない高齢者にはとても不便になりました。

大型店舗にしか輸入品の牛肉、果物などは売っていないので、アメリカは自国のものを売るため強く圧力をかけて規制緩和をしたのです。さらに労働者の権利を守る法律を変えた結果、正規社員が440万人も減り非正規社員が660万人増えました。勤労者の三分の一が非正規社員で賃金の格差も大きくなりました。←何かヘンです

8.市場原理主義

政治はあまり経済に干渉しない方が良いと言う、一見物わかりの良い政策に見える経済至上主義の暴走が始まりました。

今までは国民からの税金を国に集めて、国がそれを立ち遅れた地域や、弱い立場の人や、医療や福祉に、あるいは社会保障のために再分配をするという仕事をしてきました。

政治がやるべき機能が市場原理主義のもとで弱まり、何でも自由がいいという考えのもとに、自由競争に任せるところが拡大しています。

教育にも、医療や福祉にも、郵政にも自由競争が取り入れられてしまったのです。←何かヘンだよ

9.市場原理主義(自由競争)に任せてはいけないもの→教育・医療・福祉・郵政・環境保全

(1)教育

教育の現場に経済至上主義、自由競争を持ち込むとどうなるでしょう。親が金持ちだと良い教育を受けられ、貧しいと十分な教育が受けられなくなります。少子化の中でどんな立場の子供でも教育を受ける機会は平等でなければなりません。

数年前、小泉前総理は国の方針として経済特区で株式会社の大学を認めましたが、ずさんな経営を行ったため、その株式会社の大学は崩壊しそうです。

わが国には源氏物語や枕草子などの立派な文学もあり、数学でもしばらく前まで世界一は日本人でした。小柴昌俊氏のノーベル物理学賞、田中耕一氏の化学賞の同時受賞もわが国の高い科学技術のレベルを示しています。この文化と技術の伝統を受け継ぐ次代の国民を育てる教育、自分の国への誇りと先祖が築き上げたものに対する自信を持てる教育が大切ではないでしょうか。←小学校から英語だ、金融だ、と言うのはちょっとヘンです

(2)医療

現在の日本の医療制度(国民皆保険制度)はWHO(世界保健機構)が世界で1番良いと認めているものです。経済至上主義の自由診療が取り入れられ、国民皆保険制度が崩れてくるとお金持ちだけが良い医療を受けられるようになり、お金のない人は十分な医療が受けられなくなります。

アメリカでは日本のような国民皆保険制度がなく、民間の生命保険会社などの保険に入ることになりますが、それには多額のお金がいり、自分の医療保険を持ってない人が国民のおよそ3分の1もいます。この人たちはお金がないために医者にもかかれないことがあります。日本の平均寿命(男78.5歳、女85.4歳)が世界一なのは、日本には今までよい医療制度があったからです。日本の医療制度(国民皆保険制度)は世界でも素晴らしいものですが、しかし総医療費支出(対GDP比)は世界でも18番目と非常に低いのです。この医療費をさらに削減しようと国はしているのです。

政府の構造改革のなか医療費抑制策で昨年は医療保険が3.16%、介護保険で4%削減されました。そのうえ国は医療費を抑制しながら患者さんの窓口負担を増やしました。

特に弱い立場の医療を本当に必要とする高齢者や障害者の医療費負担はますます増加しています。財務省と厚生労働省は、国が大きな借金を抱えているし、今後ますます高齢者が増えるため、医療費を削減するのが至上命令だと、大ナタを振りかざし、患者、高齢者、医療関係者に立ち向かってきます。

国の本当の財政状態を把握していない医療界代表者は、強く反対することができなくなり、2006年6月13日の参議院厚生委員会にて医療費引き下げに賛成し、その結果国民がその分医療費の負担をしなければならなくなりました。

日本の国は大きな借金も抱えているが、一方で国としての貯金や資産も十分あります。このことを国民には知らせず、構造改革の流れの中で財政削減の標的を医療・福祉に向けている。こういうことが分かっているのは、20年を超えるベテラン国会議員だけです。

医療費を削減する前に、削るべき予算は他にもたくさんあるはずです。

例えば公営企業などへの補助金という名目での、予算のばらまき、社会保険庁のずさんな管理。医療費を削りながら一方的な大企業優遇政策です。その他少し調べるとおかしなことがいろいろ出てきます。

財務省、厚生労働省の役人は国のためという大義名分で、その配分のやり方を自分たちの意のままにするために、国の預金や資産を国民や政治家に教えないのが常識なのです。

それを見破られる熟練した政治家と、勇気をもって交渉する政治家がなくなったのです。

現場で働くお医者さんは労働時間や当直が増え、医療訴訟もあり、悲鳴を上げています。患者さんは医療費が高くなって病院にも行けなくなっています。戦後の日本を築いてきた功労者の高齢者や弱い立場の障害者にもっと温かい目を向けなければならないと思います。

(3)郵政事業

2005年の郵政改革で「官」と「民」が担うところを明記せず、すべて「民へ」は無謀な政策でした。具体的なモデルは今でも出来ていません。もっと議論が必要でした。なんでも民営が好きなアメリカでさえ、郵便事業は国営です。郵便貯金と簡易保険の345兆円を外国の資本が狙っていました。

2006年暮、北九州市の一等地にある郵便局跡地も外資系企業が支配するところとなってしまいました。過疎地にある郵便局は、合理化により配達を止めるところが少しずつ増えて行き、高齢者が数時間かかる都市の郵便局まで郵便を出しに行っている現状です。

2007年の年賀状は遅配が多く、滋賀県大津市のある地区では元旦に三分の一しか届かず、大変困りました。また、北九州市では、郵送されたコンサートのチケットがコンサート当日まで届かず、郵便局に苦情の人が並んでいました。郵便事業の機能も以前より落ちてきました。←何かヘンだよ

(もっと詳しく知りたい方は自見庄三郎の主張をまとめた「郵政改革反対10の理由」をご覧下さい)

(4)環境保全

環境問題とは

ハリケーンの強大化・砂漠化・海面の上昇・感染症の増加・水不足・氷河の後退・植物の変化・サンゴの白化・酸性雨などの環境変化が地球規模で広がっています。

中でも温室効果ガス(大気に含まれるCO2など)による地球温暖化(注参照)は深刻になっています。

今までの100年間で地球の平均気温は0.6度上昇し、北極の氷の厚さが40%減りました。海面が上昇します。このままで行くと、今後100年間で5.8度気温が上昇する。そうなると海面は88センチ上昇し、2億人が住むところを失います。

現実に今、南太平洋の国ツバルのパサフア島は、かつては2倍以上の広さがあったのが、今はテニスコート2面もないような小島になってしまいました。南太平洋大学の教授は、海面上昇が主な原因であると考える、と語っています。(朝日新聞2007年4月7日夕刊)世界の首脳は京都で会議をし、京都議定書を定めました。

(注)地球温暖化今、地球には100年前よりも急激にCO2が増えています。これが増えると太陽によって暖められた熱を逃がさなくなるので、地球はどんどん暖められます。これが地球温暖化です。CO2(二酸化炭素)は石油や石炭などの化石燃料を燃やすことによって発生し、私たちの生活の中から毎日出てきます。

(A)京都議定書

1997年にわが国の京都で開催された「地球温暖化防止京都会議」により、先進国にCo2の排出量をマイナス5%にしようという国際的な約束で、2005年2月16日に発効しました。中国とインドは入っていません。アメリカは入っていたけど抜け出てしまいました。アル・ゴア元アメリカ副大統領は「不都合な真実」という映画と本を作り、全世界の人に環境問題の大切さを訴えています。また、アフリカ・ケニアのワンガリ・マータイ女史は、森林の伐採を止めさせ、植林運動を起こし、ノーベル平和賞を受賞しました。森林は大気中のCO2を吸収する大事な役割を果たしているのです。

工場で生産する際、CO2をたくさん排出している企業は、CO2削減の努力をしなければなりません。それができている企業とできていない企業があります。消費者の皆さんは株を買ったり、製品を買うときに、それを見きわめて優良企業に協力しましょう。

環境問題に興味を持った方はレイチェル・カーソンの名著『沈黙の春』を一読されることをお勧めします。

北九州市は公害を克服した日本の唯一の都市です。私たちのふるさとです。その町に住んでいて、他の都市、他の国の人にも公害の苦しさ、そしてそれは必ず克服できるものであり、経済発展と環境問題は対立しないし、環境教育が大切であり、環境ビジネスは平成22年には47兆円産業までなる夢のある産業だということを知っていただきたいと思います。

(B)いま、私たちにできる環境保全

ノーベル平和賞を受けたケニアの環境保全活動家マータイ女史にエコネクタイを紹介」

省エネに努力する(電気・ガス・水道)(冷暖房の温度を調節する)

環境にやさしい商品を買う(ハイブリット車)

環境にやさしい企業、努力している会社の株を買う

マイカーでなく電車、バスの利用

Co2を吸収してくれる草、木を育てる

資源回収に協力する(ペットボトルの回収→エコネクタイ)(もみがら→発電燃料)

(空きカン→再利用)

(新聞紙→再生紙)

大量生産、大量消費、大量廃棄を改める→モノを大切にして、リサイクルする(3R運動)・ゴミ減量に協力する

ゴミ拾いをする

簡易包装に協力する

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どうして今、政治がおかしいのか

小泉元総理の郵政解散で、まじめに勉強していて自分の意見を持っていた37人の国会議員を自民党から追い出しました。刺客を立てた選挙で83人の小泉チルドレンという人たちが国会議員となりました。この人たちはわずか1か月でテレビ・マスコミで騒がれ、国民の人気を得て議員になりましたが、地元の人たちの意見を聞いて周り、盆踊りや餅つきを一緒にしたり、汗や涙を地元の人たち長年共有してなった人ではありませんでした。(本当の意味の地域住民の代弁者ではなかった)自民党の衆議院議員三百数十人の3分の1近くを占めています。

そして、上の人の言うことに反対意見を言うと首を切られると言うことを経験しましたので(自分の議席を守るために)意見を言う国会議員がほとんどいなくなりました。

政治や政党と言うものは、いろんな意見を出し合い、話し合って一番いい方向を見出して進路を決めるものなのですが、国の大事なかじ取りの政府与党(自民党)の中がちょっとヘンに、ちょっと意見を言えなく、ちょっと偽善的になっているので、ほとんどの法案が数人の執行部の意見で通ってしまうのです。意見を言い合えない政党はだんだんと魅力がない政党になり、国民の気持ちが分からなくなってきています。「何かヘンだよ今の政治!」「何かヘンだよ今の日本!」の大きな原因の一つです。

私どもは、自民党の中で22年間、育てていただいたので、自民党が大好きでした。大好きな自民党がヘンな具合になりつつあるのを心配しています。

若い人が興味を持ちはじめたときどうしたら政治にかかわれるでしょうか。

などが考えられます。若い皆さんの政治への参加、ご意見を熱く期待いたします。

政治家は「えらい人」でもなければ「恐い人」でもないのです。皆さん方に選んでいただいて仕事をしている皆さんの「代弁者」なのです。←誤解しないで下さいね

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自見庄三郎の医療マニフェスト

医聖ヒポクラテスは「医者は患者がたとえ奴隷であっても貴族であっても、同じように診なければならぬ」と教えている。私も医師の原点として「人のイノチは平等である」との精神にのっとり働いてきた。

私は、7期22年の国会議員生活で、初当選時から衆議院社会労働委員会に所属し、医師としての専門的立場を生かしつつ、医療・福祉政策の策定に携わってきた。特に自民党の実質最高政策決定機関(非公式)である12人会の中枢をなす閣僚経験者の4人の中の唯一の医系議員として、医療政策の最終決定に深く関与し、リードしてきた。党医療基本問題調査会長代理、12人会、カトレア会(医系議員の議員連盟)会長代理などの経験を通じて、医療政策に関しては政界でのトップクラスの影響力を保持していたと自負している。

立候補に当たって次の諸点をマニフェストとして提起する。

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1) 医療費抑制政策の撤廃と国民皆保険制度の堅持

イ)長寿世界一を実現維持した国民皆保険を弱体化する市場原理主義的政策が強行されている。「人のイノチはカネ次第」の風潮に断固反対し、医療費キャップ制、混合診療制の導入などを阻止してきた。この立場を堅持し、「医療の後退」を許さない。

ロ)次回の診療報酬を引き上げる。

前回(2003年)の診療報酬改定では、財務省、厚生労働省を中心に大幅な引下げが企図され、大勢を占める形勢だった。自民党医療基本問題調査会や12人会、カトレア会などあらゆる機会において私は中心となって強く強く反対し、ついに本体の引下げを阻止した。今回の引き下げは3.16%と史上最高の下げ幅となり、医療機関の経営に対する不安・困難を深めている。次回の改定において「引き上げ」を必ず実現する。

ハ)「人のイノチはカネ次第」の風潮を高め、皆保険制度を破壊する「混合診療」の導入・拡大に強く反対する。

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2) 医療機関の経営基盤の安定と医療安全の確立

イ)「社会保険診療報酬」にかかる事業税の非課税措置の継続

その公共性から、事業税は非課税とされているが、近年税調などから課税論が強まっている。私は党税調ただ一人の医師出身の副会長として、これに反対し、課税を阻止してきた。非課税によって1診療所あたり年間100万円、全国では約700億円の政策減税になっていると試算されている。この「医療のための非課税主張」を今後も貫く。

ロ)予想される消費税の引き上げの場合に、医療の公共性に鑑み、ゼロまたは軽減税率を図る。

ハ)新型インフルエンザ等感染症対策の推進

エイズ、SARS、鳥インフルエンザ等への対策の強化。病原性大腸菌O‐157食中毒流行の際には自民党対策本部事務局長、鳥インフルエンザでは副本部長を務めるなど、医師の専門知識を生かして、対策をリードした。今後もこの立場でこれら新興感染症の征圧のために全力を尽くす。

ニ)食品安全システムの確立・整備

自民党「食品の安全確保に関する特命委員会」の副委員長として食品安全基本法の制定をリードした。食品のリスク管理体制を構築し、わが国の食品安全管理体制を50年ぶりに根本的に改革、近代化し、国民の食に対する信頼を高めた。リスク管理など監視体制の強化を含め、同制度の充実強化を進める。さらに、外国産食品の残留農薬など安全性の水際監視体制を充実強化する。

ホ)自殺予防対策の推進

年間3万人を超す自殺者の発生はわが国の社会制度を揺るがせ、平均寿命を引き下げかねない憂うべき事態である。私はいち早くこの事態を重視し、全国の労災病院にメンタルヘルスセンターを政府に設置させた。総合的に対策を実施させた実績を持つ政治家として、今後も自殺の総合的な防止対策に力を尽くす。

ヘ)がん征圧対策の充実展開

がん征圧は医師である私の初当選以来の最重点政策のひとつである。超党派の「がん征圧議員連盟」(会長・中曽根康弘元首相)の生みの親の事務局長として「第一次対がん10か年総合戦略」以来20余年にわたってがん征圧計画を指導してきた。現在の「第3次10カ年計画」は罹患率、死亡率を引き下げるために予防対策の推進と医療体制の向上を目指し、46ヵ所(平成15年初)の地域がん診療拠点を10年で364か所に増やす計画である。2次にわたる征圧計画を作成指導してきたキャリアを生かし、第3次10か年計画の充実を図り、予防、診断、治療、研究等への財源確保に力を尽くす。

ト)地域介護体制の整備

わが国に介護保険を創設した与党の責任者の一人として、実態と会わない現状を改善し、適正な介護報酬財源の確保を図る。

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3) 医療審判所の設置

イ)医療事故が近年多発する傾向が見られる。刑事責任を問われ、警察による医師の逮捕の事例もまま見られ、国民の医療への信頼が揺らぎ、医師も萎縮しがちである。医療事故が発生した場合、国民も医師・医療従事者も納得できる解決策を提示するため、海難審判所に類似した、医学専門家を含めたメンバーによる医療審判所(仮称)を法律を定めて創設する。

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4) 少子化・人口増対策の推進

イ) 出産事故に関する国家補償制度の創設

わが国では、医師全体の5%を占める産科医が医療訴訟の40%を受け、補償金額の60%を支払っている。これが産科医志望者の少ない理由のひとつである。この不安をなくすため出産事故に関する国家補償制度を法律をもって創設し、妊産婦も医師も安心して出産できる体制を作る。産科医不足と人口増対策に資する政策である。

ロ)総合的な少子化対策

全国保育問題議員連盟の前会長として、病院等の職場での保育施設の設置や「駅前保育」、時間外保育等の規制緩和、財政措置を進めてきた。これをさらに財政確保など充実展開する。

ハ)非正規雇用者の出産増大対策を進める

「格差社会」が問題化する中で、正規雇用者と非正規雇用者の所得格差が顕在化し、非正規雇用者の子供の数が少ない事実が指摘されている。この格差をなくし、非正規雇用者が子供を作りやすい環境を作る。

ニ)育児休業制度の充実

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5) 良質な医療の提供体制の充実

イ)医師および看護師の偏在解消とへき地における医療政策を充実

女性医師の就労環境を改善のため、育児室の整備、就労時間の弾力化などの措置を講じる。

ロ)へき地・離島当における診療体制を充実強化する

ハ)医療分野のIT化を推進し、遠隔地医療ネットワークを整備する

私が郵政大臣のときに、九州大、産業医大、米クリーブランドクリニックを結ぶ「小児てんかん」の遠隔地医療体制を世界で始めて創設した。この実績を踏まえ、国内においても各種のネットワークを充実強化する。

ニ)臨床研修医の必須化に伴い、主として人件費198億の予算を確保した実績を踏まえ、臨床研修医、卒後教育、生涯教育の充実を図る。

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アメリカに「右に倣え」の医療制度改革-アメリカ発の医療制度改革

『月刊/保険診療』07年1月号特集「医療制度改革の真相」より抜粋。以下自見インタビュー内容。

──「医療制度改革の真相」というテーマでお話を伺えればと思います。

大きな構造として,このあいだの郵政民営化もそうですが,日本の制度改革の背後にアメリカの意図と圧力があることは明らかです。私は橋本内閣のときに郵政大臣として日米電気通信交渉でワシントンでアメリカと渡り合ったりもしていますから,日米交渉の表と裏,日本とアメリカの関係も知っているつもりです。

現にアメリカの対日年次改革要望書などに明記されている要望事項が,その後,軒並み実現しているじゃありませんか。新会社法,郵政民営化,みんな同じです。アメリカがシナリオを書いて,日本の政治家と官僚が操り人形のようにその実現に尽くす。マスメディアがそれに「改革,改革」といって協力する。──この現実を認識せずに医療制度改革を論じても無意味です。真相は見えてきません。

──アメリカの意図,狙いについてはどのようにお考えですか。

今,アメリカの政治を支配しているネオコン思想(neoconservatism:新保守主義)の経済政策は,フリードマンのマネタリズムを原則としています。マネタリズムとは,政府が公共事業で雇用を創出して所得を平準化するケインズ思想を否定したもので,規制緩和,市場原理主義,租税の平準化,外資の自由化,社会保障の切り捨て,小さな政府,「会社は株主のもの」などをその柱としています。

フリードマンのシカゴ学派のビジネススクールなどを出た人をシカゴボーイズと言いますが,日本では竹中平蔵とか規制改革・民間開放推進会議の前議長の宮内義彦とかはシカゴボーイズです。彼等が皆マネタリストになって帰ってきて,グローバリゼーションという名の「アメリカ化」を布教する"宣教師"の役割を果たすのです。

──マネタリズムの問題は何でしょうか。

日本でも中曽根政権のときにマネタリズムの真似をしました。「民活」という名の経済政策,JRの民営化や租税の平準化などをやりました。その後もその流れで,法人税もフラット化したし,所得税も実効税率が最高88%だったのを引き下げて,今は37%です。一見いいことのようだけど,その結果,富が極端に偏在してしまうのです。

日本では規制緩和というと,巨大化した役人の権限を奪えという図式ですが,実際は大企業にいい話なんです。市場原理主義もそう。要するに市場に政府が介入するな,ということ。租税の平準化も得をするのは金持ちだけです。儲ける人は儲ける,企業からは少なく税金を取る。

それが社会をどう変貌させるかは,かつてのラテンアメリカを見れば明らかです。アメリカから帰ったシカゴボーイズたちが政治やビジネス界にも入って,その結果どうなったか。まあ経済は一瞬うまくいくんだけど。結局,富が偏在してしまい社会が分裂し崩壊してしまう。で,結局,現在のラテンアメリカは反米左派政権が大勢になりつつあります。ということで,マネタリズムというのは,すでに大失敗した経済政策なんですよ。それがまたブッシュになって復活したわけで,日本だけですよ,アメリカと同じネオコンの経済政策をそのまま追随している国は。実際,ヨーロッパに行ったら日本人はバカじゃないかと言われますよ。「核兵器を保有するロシア,中国それに北朝鮮にまで囲まれている地政学的関係から安保条約を結ぶのはわかるが,何で社会や経済の仕組みまでアメリカを真似しなきゃいけないのか」と。古い伝統と歴史をもっている国なのに実に愚かだと。

──見習うにはアメリカには問題が多すぎるということですね。

アメリカは1%の人間が国全体の資産の30%くらいをもっていて,実に400家族が1兆円以上の資産をもっているんです。その裏で,医療も受けられない無保険者が4700万人もいる。アメリカの倒産理由で一番多いのはクレジットによる倒産で,2番目は医療によるものです。4700万人は医療保険にも入れないから,病気になったら倒産してしまうのです。一部の医師はものすごい金持ちだし,一部の製薬会社もものすごく儲けているけれど,4700万人も無医療保険者がいて,心臓手術を受けたら自分の会社を売らなきゃいけない。大腸がんだとわかっていながら手術治療すらできない。もう完全に中産階級は転落しています。それがアメリカの悲惨な現状です。

このように社会保障を切り捨てて,医療そのものも民間の市場原理主義によって効率的に行われているのだとすれば,アメリカの医療費はさぞや安上がりだろうと思うかもしれませんが,実態はまったく逆です。総医療費は世界でダントツの190兆円です。日本は30兆円。人口比で按分しても日本の医療費よりはるかに多い計算です。アメリカは世界一の190兆円もの医療費をかけて平均寿命が世界で24番目ですよ。一方,日本は世界一の長寿国です。その日本が,なぜアメリカの医療制度を見習う必要があるんですか。確かにアラブの王様などにとってはアメリカの質の高い医療はいい医療なのです。1日に100万円の治療費を払える人にとってはね。

しかし医聖ヒポクラテスは,「患者がたとえ奴隷であっても貴族であっても同じように診なければならない」と教えています。人の命は平等だと。人の命は物や金とは違うんですよ。命や教育は"ハイアーシング"(高位のもの)であって,物や金は"ロウアーシング"(低位のもの)なんです。主役はあくまでも人で,物や金は人が使うものなのです。そんな区別さえ,ネオコンやマネタリズムの信奉者にはわからなくなっているのです。

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国民皆保険を崩壊させる医療制度改革

──アメリカでもクリントン政権のときに国民皆保険制度を導入しようとした経緯があります。つまり,アメリカは日本の国民皆保険制度を見習おうとしているのに,日本のほうでは逆にそれを崩壊させようとしています。

信じられないくらい愚かなことです。日本の今の医療制度改革を進める人々は,国民の健康や命を考えてやっているのではなく,ビジネスチャンスを作ろうと思ってやっているのです。かつて,知り合いの大蔵官僚が言っていました,「どうして医療の混合診療に賛成しないんですか? ものすごくビジネスチャンスが広がりますよ。今30兆の医療費がたちまち50兆くらいになりますよ」と。また,厚労省の局長たちに話を聞いたときは,「今30兆の公的医療を20兆に縮小して,あとの30兆は金持ちだけでどうぞやってくださいということ。そこにものすごい落とし穴がありますよ」と言っていました。混合診療とは要するに公的責任を放棄するということであり,その穴を民間保険がビジネスチャンスとして利用するということなのです。

そろばん勘定だけで医療を律しようとするから歪んでしまうんです。私は今も医者をしてますが,例えば交通事故などで子供が救急車で運ばれてきて,「10万円しかお金ありませんから,10万円まで治療してください。10万円を超えたら殺して結構です」──そんな親は一人もいませんよ。ところが,財務省や厚労省はそんな医療をしようとしている。

──混合診療的が拡大して患者負担が増えると,民間医療保険に頼らざるを得なくなりますね。

そこがアメリカの狙いだから。94年に日米包括経済協議によって、外資系のみに保険の第三分野,すなわち医療保険や障害保険の販売が認められることになり,自国市場でありながら,2001年まで国内の保険会社は参入が認められていなかったのです。そして今,この医療保険が一番儲かるんです。

アメリカにとっては,自分たちが儲かるなら,日本人がのたれ死のうとどうでもいい。自分たちが儲けるには,公的医療保険を崩さないといけない。日本の公的医療保険があまりにもうまくいきすぎているから。それが,一連の医療制度改革の隠れた動機です。そのアメリカの意を受けて小泉以下,経済財政諮問会議や規制改革・民間開放推進会議が公的医療保険を崩壊させるべく厚労省に圧力をかけ,マスコミを誘導しているのです。

──医業への株式会社参入はどう思われますか。

医療機関を株式会社化するためにも,公的医療を崩壊させないといけないんですよ。それをぶち壊さないと金儲けができないわけです。だから診療報酬は2年後にまた必ず下げますよ。より小さな政府にもなりますし,その一方で患者の自己負担は多くなります。そこに民間医療保険が入ってくると同時に,医療を株式会社化して,厚生年金病院グループとか労災病院グループとかをアメリカの巨大な病院株式会社が買っていくという話です。儲からないへき地医療は政府と日本人の医師に押しつける。それはもう目に見えているじゃないですか。日本人のために医療改革をするのではなく,アメリカの世界的な金融市場のために,さらにそれの盲従している日本の一部の大企業に奉仕する医療に変えていこうという話です。

──なぜ,そのような国と国民の命を売るような政策が実現してしまうのでしょうか。

アメリカと日本では国力に差がありすぎるし,小泉と竹中がアメリカの提灯持ちをしているからですよ。それまでは,こんな愚かな政治家はいませんでしたよ。日本の内閣総理大臣の3つの条件を知っていますか? 1番目は議会の支持。2番目は国民の支持。そして実は3番目が一番大事で,アメリカの支持なのです。

だから,アメリカにとってこんなにいい総理大臣と大臣はいませんよ,小泉と竹中は。しかし,日本国民にとってみれば,こんなに不幸な総理大臣と大臣はいないですよ。民は痩せ細って金持ちは益々金持ちになって,貧乏な人は医者にもかかれなくなりますよ,今のこういう流れを止めないと。

──もの言えば唇寒しで,自民党内で異論を唱える人が少なくなってしまったように思われますが。

それは小選挙区の弊害です。小選挙区になったらこうなるんですよ。だから私は小選挙区には反対しました。多様な意見が許されなくなる。中選挙区ならいろいろな考え方の政治家が共存できるんです。自民党はこの5年間で変貌したんですよ。本来自民党は幅の広い,強いけれども弱者にも地方にも優しい政党だったんです。今は経済活性化,国際競争力強化の口実のもとに金持ちだけの味方,大企業だけの味方,地方と弱者(患者・高齢者・中小企業)切り捨ての冷酷,狭量な政党に急速に変質したのです。これではポッキリ折れますよ。

──今回アメリカの中間選挙で民主党が勝ちましたが,対日政策に変化はあるのでしょうか。

変わらないでしょうね。それはアメリカでも超党派の「奥の院」のごく少数が作ったプログラムだから。このままだと日本はアメリカに騙され続けるだけですよ。

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経済的規制緩和と社会的規制緩和

──規制緩和については,緩和すべき規制と緩和してはいけない規制があるように思われますが。

経済的な規制緩和はしていいですよ。郵政大臣のときに携帯電話の料金の規制緩和をしたのは私ですよ。郵政大臣は許認可しません,料金は社長が決めればいい,その代わり経営責任はあなたにありますよと。明治以降,電話料金はすべて公共料金として郵政大臣が決めていたんですが,その規制緩和をした。そうしたら,競争が生まれて料金も下がり,サービスも多様化し,たちまち8000万台になりました。そういう規制緩和は必要なんです。当時私は「ミスター規制緩和」と呼ばれたんです。(笑)しかし,規制緩和をしていいことと悪いことがあるわけです。社会的規制,特に人命に直接かかわる医療は規制緩和をしてはいけないんです。その判断が大事なんです。

今は経済的規制緩和も社会的規制緩和も一緒くたになってしまっています。だから私は言うんですよ,それなら「株式会社警察庁」にしたらどうかと。10万円もってこないと護ってあげないと(笑)。10万円ないなら強盗に殺されてくれと。今アメリカの医療なんてそうですよ。病院へ行ってまず何と聞かれるか,「お金をもってますか」と聞かれますよ。お金がないと言うと,どうぞお帰りください。それが現実ですよ,アメリカの。

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先祖帰りした資本主義

政界だけでなく経済界もずいぶん変わってきましたよ。これはもうほとんどの人が言わないのですが,10年前は総医療費の25%を企業が負担していました。それが今は20%しか負担していない。その5%をどこが負担したかといえば,地方自治体と患者さんです。

厚労省のある局長の話では,最近は社会福祉政策などと言っても経済界には相手にされないそうです。そんなこと言ったら国際競争に負ける,帰れと蹴飛ばされかねないと。経団連と日経連が日本経団連に統合されましたが,かつて日経連にいた社会福祉政策と社会労働政策をする人がいなくなってしまい,事務局もなくなってしまったそうです。企業が不況下で会社が生き残るためにリストラと国際競争に打ち勝たなければならないという口実のもとに,社会的責任をどんどん放棄しているのです。

理由は簡単です。1991年にソ連共産党が崩壊して世界は変わったんです。これまで企業が社会保障制度や社会福祉制度を一定程度担ってきたのは,共産主義,社会主義を防ぐためだったのです。そのためには,労働者や国民に少し富を分けてあげないといけないと。それが本音にあったのです。かつて日本社会党が言ったことを3年後に自由民主党がやって,社会保障制度とか最低賃金制度だとか時短だとかやったのは,単に社会党が勝たないためにやったのです。

だから,ソ連共産党が崩壊して革命が起こる心配がなくなった今は,経済がグローバル化し,一方BRICsの経済の台頭もあり,儲けた金をもう貧乏な労働者に分けてあげる必要がなくなったのです。個人の労働分配率は下がりっぱなしです。いくら労働者や貧乏人を虐めまくってもかまわなくなった。だから私は,資本主義は「先祖帰り」したと思っています。グローバリゼーションという名の元に,18?19世紀の冷酷な金儲けの権化みたいな資本主義に戻ってきたと思っています。昔の帝国主義,人を殺しても物を取りさえすればいい,植民地にしてその国の富を奪ってくればいい,そういう本質がむき出しになってきたと私は思っています。

ですから,会社が儲けても,もう労働者には分配しませんよ。会社は景気がいいけれど給料は増えない。国民所得も増えない,だから消費も伸びない。「実感なき景気回復」です。その分が株式の配当に行ってしまうのです。株主配当は半期で2兆円を超えて史上最高になったそうです。これはもうアメリカ型ですよ。「会社は株主のもの」という思想です。この考えのもとでは,人は会社の付属品として人身売買される商品,部品になり下がったのです。

簡単に言えばこの10年間で国民は3兆1000億円の増税になり,企業は1兆1000億の減税になったのです。昔は企業に勤めている人も利益にあずかれたが,今は経営者や株主に利益が集中してしまっています。小泉政権下での労働法の規制緩和の結果,会社共同体が正社員を440万人もクビ切って,正社員の給与は450万円です。派遣労働者は平均200万円。パートの労働者に至っては110万円です。パートと非正規社員は660万人増えて,4人に1人は非正規社員です。──日本の社会は崩壊しつつありますよ。

──外資の支配率も相当上がってきましたね。

今,日本の一部上場企業1600社の株の約25%は外資が所有しています。キヤノンは51%、ソニーは60%,NTTも24%の株は外資が所有しているのです。

NTTの社長になって最初の仕事は約3ヵ月かかって外国の大株主のところへのあいさつ回りだそうです。毎日売買される株のうち60%は外資によるものですから。それと,これは朝日新聞の記事ですが,いつの間にか,北九州の超一等地がゴールドマンサックスの支配下になっていたという話もあります。中央郵便局の跡地を再開発するのですが,日本のデベロッパーが,最初は日本の1社だけが関与していたのですが,最後になって,ゴールドマンサックスが筆頭株主の外資系のデベロッパーが割り込んで来,SPCというスキームを活用して支配してしまった。ゴールドマンサックスがなんで来たかわかりますか? 同じスキームで東京中央郵便局,大阪や名古屋の中央郵便局の跡地を取ってやろうということです。

これが郵政民営化の実態です。まだ完全に民営化にならないのに早くも尻尾を出しましたね。だから,早晩こういうことになるわけですよ。日本の優良資産が根こそぎ外資の手に落ちていく。だから私は反対したんですよ。

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日本のマスメディアの問題

──本来そのような問題を提起すべきマスメディアがその役割を果たしていませんね。

マスメディア,特にテレビは 1%視聴率が上がれば100億円儲かる世界ですから,もう完全に商業主義で,どんどん愚劣になっています。また日本の新聞も官庁や業界団体に記者クラブを作って,役人の「かわら版」みたいなものですからね。だからほとんどの日本の大新聞は70%は同じ内容です。中身を検証する能力もなければ忙しくて時間も人手も不足しており,批判精神もない。フェアでさえない。政治信念に基づいて政治生命をかけて郵政民営化に反対した我々に「守旧派」とか「造反議員」というネガティブなレッテルを貼って,小泉に一方的に肩入れしていましたから。

──郵政民営化や医療制度改革でも,マスメディアは官邸寄りの偏った報道をしましたね。規制緩和はとにかく善,規制はすべて悪だという姿勢です。

規制緩和は役人に対する反感を利用していますが,本当は規制緩和したら大企業が儲かるわけで,役人が生け贄なんです。そして世界一の大企業はほとんど米国、ヨーロッパにあるのです。日本医師会も同じです。大新聞はこぞって日本医師会が悪いと。ある厚労省の役人が言っていました,「医療改革をしなくても日本医師会を悪人にしておけば,医者の奥さんがミンクを買ってダイヤモンドを買ってけしからんと,その反感さえ煽っておけばいい。本当の医療改革をしなくていいから助かります」と。

──郵政民営化がアメリカの年次改革要望書に沿ったものだと指摘した論説も黙殺されています。

新聞は,アメリカに都合の悪いことを書くと,アメリカのホワイトハウスと国務省の記者クラブから追放されるからアメリカの言うとおりに書くしかないのです。だから日本の朝日新聞がワシントンの記者クラブを追放されたじゃないですか。そういう構造があるから,私が郵政大臣のときにワシントンでやった日米電気通信交渉でも,日本の新聞はアメリカが言ったとおりに書きました。向こうの言ったとおりでこちらの言ったことは何も書かない。日本の新聞を一番真面目に読んでいるのはどこか,それはアメリカ大使館ですよ。隅から隅まで読んでいますよ。そしていちいち文句をつけるんです。テレビも同様ですよ。

──マスメディアも政治も経済も,社会の隅々までアメリカの支配構造が行き渡っている感じですね。

だんだんね,洗練された帝国主義がしみ渡ってきましたよ。

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日本医師会と自民党の変質

──そのような社会の流れのなかで,日本医師会のスタンスも,あの05年の郵政解散・総選挙後,少し変わってきましたね。

まったく変わりましたね。日本医師会も今の医師会長になった途端,医療制度改革に賛成したじゃないですか。こんなことは戦後初めてですよ。患者さんの負担が増えることに賛成するなんて。日本には患者の組合というものがないので,日本医師会は戦後50年,患者の代表としても発言していたんですよ。患者の負担増については,患者が減るという本音もあるかもしれませんが,基本的には患者さんの立場に立って反対してきた。

それが今は自民党にしっぽを振っているばかりだから,足下を見られて,患者の負担は増えるし診療報酬もますます下げられるんですよ。こんなに財務省や厚労省にとっていい医師会はないですよ,抵抗しないんだから。

──今,中医協に医師会代表と病院団体代表が加わるようになりました。病院の医師のなかには混合診療解禁を歓迎している人もいて,医療者間で意見が割れるようになってきましたね。

それがディバイド・アンド・ルール,分割統治ですよ。医者のなかの意見を分けたらもうシメシメですよ。それは伝統的なアングロサクソンのやり方であり,官僚のやり方です。わずかの違いの部分に塩を塗って大喧嘩させて,結局は全体を統治しやすくするというのはもう常套手段ですよ。私が自民党の医・歯・薬・看出身の医系議員連盟のカトレア会にいたときは,私が会長代理としてまとめていましたが,それだけはさせなかったですよ。診療報酬をきちんと確保するまでは絶対に配分に関して喧嘩したらいけませんよと。配分は診療報酬をきちんと確保してからやってくださいと。だから,それこそ04 年の診療報酬改定は小泉政権下でも一糸乱れずにやってちゃんとプラスマイナスゼロになったじゃないですか。それから分ければいいんですよ。先に分けることを考えていると,必ずそこに手を突っ込んでくるんです。沈みゆくタイタニック号の中でね,フランス料理がいいか中国料理がいいかで大喧嘩しているようなものですよ。その前にね,タイタニック号に空いた穴を小異を捨てて大同につき,各議員,医療団体と協力して皆で埋めなければいけないのです。目先の利害のことだけで喧嘩されるというのは為政者の常套手段なんですよ。

──自民党の医系議員のスタンスも,あの05年の総選挙後,変わってきたように思いますが。

文句を言う奴は公認しないでクビだから,みんな官邸にすり寄りますよ。ネオコン政治一色ですよ。社会保障を削ることが改革で正義だと思っている。かつては私と木村義雄代議士らと歩調を揃えて官僚を相手に,国民の声を代弁して社会保障を充実しろと,22年間,ドンキホーテのようにやってきたんです。その私もいなくなって,今バランスを崩しているんです。

面白いことを教えてあげましょう。前々回の改定で2.7%の診療報酬の引き下げがありましたね。あのとき,大蔵省はA案B案C案ともっていて,まずは第一原案としてA案をもってきた。そのA案では,ある一定の条件下のお年寄りの自己負担が13倍に上がるところだったんですよ。それで木村さんと私とで午前中4時間午後4時間,官僚たちと大喧嘩したんです。そうしたら,第2案をもってきました。そして引き上げ幅は3割になった。負担総額は一緒なんです。面積と同じで,どこをどう積算するかで,数字はいくらでも変えられるのです。

そして05年10月末に成立した障害者自立支援法では,負担が一番上がったのは13倍でした。A案がそのまま通っているんです。小泉・竹中独裁政治になって国民から選ばれた議員も政党も機能していないですよ。小泉チルドレンが83人もいて,医療・福祉にかんする知識も独自の政策もなくただ「改革,改革」と叫んでいるだけですからね。(笑) あれは財務省が一番ビックリしていますよ。障害者自立支援法は私が落選してからできた法律ですが,13倍というのを見てこれはA案が通ったなと。厚生事務次官の経験がある人が「財務省がネオコン思想(小さな政府,自己責任,弱者切り捨て,社会保障の削減は正義である)に悪乗りしている。さらに,06年改定では与党のなかから医療費を上げようという声が全然聞こえてこなかった」と言ってました。主張すべきは主張していかないと,それこそ財務省や厚労省の一方的な切り刻みになってしまいますよ。

──今後もこの流れは変わりそうにありませんか。

変わらないでしょうね。だから,私がいなくなって一番喜んでいるのは財務省じゃないですか。総額医療費管理制度というのは05年の6月に1泊2日でガンガン大喧嘩して,私が経済財政諮問会議の原案を削ったんですよ。それが,05年の9月11日の総選挙で私が落選して,9月15日の谷垣財務大臣の記者会見では,あの与党との合意は政府としてご破算にしますと。要するに,総額医療費管理制度を再度俎上に上げようということです。

──医療側としては総額医療費管理制度を導入されるのが最も嫌だから,それを避けるためにそのほかのことで妥協を重ねているような印象です。切り札を相手に握られた恰好です。

そのとおりです。総額医療費にするぞするぞと脅かして診療報酬を下げるというやり口です。それと同じように使われているカードが「医師免許の更新制」です。そんな制度を導入したら法医学の先生がいなくなりますよ。法医学なんて、専門化の最たるもので,学生時代に習得した一般的な医学知識・技能とはかけ離れたものです。「免許更新」になじむはずがありません。だいたい厚労省にいる240名の医者,技官はみんな落第だろうと。それに医師に導入するのなら,官僚の国家公務員上級職試験も 10年に1回試験をするのか,弁護士や裁判官も10年に1度更新試験をするのかってことです。そう脅かしたら諦めたようですね(笑)。それに医師の場合,悪いことをしたら医道審議会で医師免許の剥奪まであります。そういうシステムがあるのに,「医師免許の更新制」をもち出してきたというのは,医師への脅かし以外の何ものでもないですよ。

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日本の「医療」はどうあるべきか

──社会保障に関してはアメリカよりもヨーロッパから学ぶことが多いように思われますが。

ヨーロッパ,特に北欧などはアメリカとはまったく違う政策をやって,社会保障をあれだけ手厚くしても,ノルウェーなどは世界で最も国民平均所得が多いんです。社会保障も経済発展もしているわけです。ですから,ヨーロッパ型の社会に近づけたほうがいいというのが私の主張です。

結局,「小さな政府」か「大きな政府」かという話に行き着くわけですが,日本ではいつの間にか小泉と竹中で「小さな政府」と決めてしまいました。私は「小さな政府」というのは日本の社会・文化・伝統には合わないと思っています。かといって,大きすぎる政府もいけない。当たり前のようですが,「適当な大きさの政府」が一番いいと思っています。

──日本の医療費はもう少し増やすべきですか。

私は増えてもいいと思います。日本の医療費は大きい大きいとマスコミは書き立てていますが,実はGDP比でOECDで17番目,先進7カ国では最低の水準です。それでいてパフォーマンスは世界一なのですが,そのことはほとんど報じられていません。私は,先進国並みに医療費を引き上げて,OECDでせめて6,7番目くらいにしてもいいと思っています。長寿国家にはコストがかかりますよ。

それと国は827兆円も借金があって大変だと言いますが,これは粗債務です。実は世界で一番金融資産をもっているのは日本国政府なんですよ。それと法律によって国民から強制的に徴収する社会保険料,あれはアメリカの定義だと歳入なんですよ。日本政府には260兆円の社会保障基金,170兆円の内外投融資,100兆円の外貨準備,合計530兆円の金融資産があります。だからそれらを差し引くと,純債務は約300兆円でEUの国とほとんど変わりませんよ。マスコミが勉強しないから財務省やマネタリストたちに踊らされているのです。

──日本の医療が守るべきものとは何でしょう。

日本の医療制度のいいところは,フリーアクセスや自由開業医制度という「民活」に依った部分と,医療供給体制や診療報酬という「官」が管理する部分がうまく組み合わされている点です。これは官と民が相補的関係にある理想的な制度ですよ。それをアメリカのような邪な考えで崩してはいけません。人の命は金儲けには馴染まないのですよ。

やはり,病める人や痛める人を助けることが政治家として一番大切なことなのです。健康で豊かな人には政治の力など必要ないんです。政治が金持ちについたら,その他の人は地獄になりますよ。

確かに日本の一部の富裕階級だとか腕のいい医者が飽き飽きしているのも事実ですが,命だけは平等であるべきなんです。死んでいく人の苦しみだとか残される家族の苦しみだとか,そういうことに目を向けるのが政治なのです平安時代の最澄の言葉「一隅を照らす」は変らぬ人間社会の真理です。

だから医療だけは絶対に譲れないのです,死んだ命は元には戻らないのですから。「人間が社会の主人公である」が政治の大前提だからです。私は今後もぶれない心,貫く信念で日本の医療のために戦っていきたいと思っています。

──同感です。本日はありがとうございました。

【略歴】 自見庄三郎(じみ しょうざぶろう) 1945年生まれ。1970年九州大学医学部卒業。第一内科入局。1976年医学博士号(公衆衛生学)取得。九大総合内科外来主任。1980年ハーバード大学公衆衛生学部疫学教室主任研究員・研究講師。1983年衆議院議員(自民党)初当選。1997年第二次橋本内閣の郵政大臣就任。2001年自民党組織本部長。2005年9月の総選挙にて郵政民営化に反対して自民党公認を得られず落選。現在,国民新党参議院比例区支部長,(社)全日本薬種商協会会頭、(社)日本医療法人協会特別顧問、産業医科大・西南女学院大各非常勤講師、医療法人社団恵友会霧ヶ丘つだ病院副院長。

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「国益」守り「和」の政治を-庄ちゃん最近の政見

自見庄三郎・元郵政大臣は国政復帰を期してがんばっています。生まれ育った北九州に根を下ろし、温かいご支援をいただいている方々へのお礼と再起へのいっそうのご支援をお願いし、ご意見ご要望を伺う行脚を続けています。激動する内外情勢の中で国を思い、ふるさとを考える自見庄三郎の最近の心境をお伝えします。

ご意見・要望伺う行脚

昨年の総選挙では温かいご支持ご支援ありがとうございました。改めて厚くお礼申し上げます。7期連続当選、22年にわたって衆議院議員を務め、ⅠT投資・研究開発投資減税や新北九州空港の完成などの業績を上げ、皆様のお役に立ってきたつもりでありますが、まだまだ皆様の十分なご信頼をうるに至っていなかったことを痛感しています。この反省に立って、現在は支援をいただいてきた皆様を訪れ、ご意見や要望を伺う行脚を続けています。また、上京して各省庁からの政策報告を聞いたり、勉強会などで政策研究にも励んでいます。これまで培ったパイプを生かし、地元の政財界からの施策要望や陳情の紹介やお手伝いも続けています。

過度の「競争」を憂う

自由競争、規制緩和の名の下に「郵政民営化」「医療改革」など、アメリカ直輸入の市場原理主義による「改革」が進められています。高齢者・病人などの弱者切捨て、東京と地方・大企業と中小零細企業・貧富の格差の拡大、「勝ち組、負け組」を公然と認める風潮が広がっています。私は過度の「競争原理」の強調を憂います。わが国は古来から「和」を尊び、助け合いの心を大切にする国柄でした。自民党もまた、幅広い言論と行動を認め、妥協点を見出すまでとことん議論を続けていました。弱者・敗者にも優しい心を注ぐ保守政党でした。自民党は復元力の大きな政党です。初志を忘れず、原点に返るべきです。

国を自壊から救おう

日本は地政学的にもアジア諸国との関係が大切です。米国ばかり向いてはダメです。いくら親しい仲でも国益は命を賭けても守らなければなりません。郵政公社は私が大臣のときに130年ぶりに改革しました。公益性と効率性を兼ね備えた組織です。今回、米国の要求通りの「民営化」が行われました。国情、歴史、成り立ちを無視したものです。それに対して国益を守るために私は真の保守政治家としてスジを通しました。このままでは日本は自壊します。その恐怖感、不安感が私にあります。これを救うために苦しい中だが国と郷土のために全身全霊を捧げて戦います。

ふるさと奉仕は道半ば

北九州は中小零細企業の多い町です。景気回復は中央の大企業のみの話です。回復の実績はなかなか波及してきません。こんな状況下で、ふるさと北九州は市場原理による競争ではなく「助け合い」によって産業構造を転換し、蓄積された高度技術を発揮して付加価値の高い製品を生産する新時代の工業都市に変容させたい、と願っています。新北九州空港を要にした海陸空のアジアに開かれた玄関口に発展させたいと考えます。私の仕事はまだ道半ばです。志を貫くため、一日も早く国政に復帰したいと考えます。イバラの道ですがどうかご支援ください。

写真は 西南女学院大学で講義する自見庄三郎元郵政大臣(7月3日)

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「再起」へ着々足場固め-「お礼とおわび」行脚続ける

新年おめでとうございます。自見庄三郎・前衆院議員は捲土重来を期してがんばっています。生まれ育った北九州に根を下ろし、逆風の中で温かいご支援をいただいた方々へのお礼・おわびと再起へのご支援をお願いし、皆様のご意見・ご要望を伺う行脚を続けています。激動する内外情勢の中で、国を思い、ふるさとを考える自見庄三郎が再出発に当たってその心境を語りました。

ニュー庄ちゃんへ脱皮

昨年9月の総選挙では温かいご支持ご支援本当にありがとうございました。改めて厚く厚くお礼申し上げます。皆様のご期待に沿えない結果となり、深くお詫び申し上げます。厳しい逆風の中でいただいた65129票の重みとありがたさをかみしめながら、おわびとお礼の行脚に明け暮れた3ヶ月でした。

7期連続当選、22年にわたって衆議院議員を務め、IT投資・研究開発投資減税や新北九州空港の完成などの業績を上げ、皆様のお役に立ってきたつもりでありましたが、まだまだ皆様の十分なるご信頼を得るに至っていなかったことを痛感し、初当選の初心に返り、国政復帰を目指して活動を続けています。

心機一転、「ニュー庄ちゃん」に脱皮すべく、すっかり白髪になりましたがヘアースタイルを変え、メガネも現代風な欧州型に変えました。

硬直化した体制を憂う

自民圧勝の結果を受けて、国政も大きく変わりました。私が40年間、一貫して所属してきた自民党は「小泉翼賛体制」が進み、党内に「物言えば唇寒し」の風潮が広がっているようです。

結党50年の歴史を持つ自民党は「多様性」「柔構造」「右から左まで共存」し、「政策論議は全会一致を原則」とし、妥協点を見出すまで、とことん議論を続けるルールがありました。従来の特質を失い、反対者には「抵抗勢力」のレッテルを張り、議論を排除し上意下達を通す、という硬直化した政党になったことを危うく思います。

「勝ち組」「負け組」の風潮まんえん

自由競争、規制緩和の名の下に「郵政民営化」「医療改革」など、アメリカ直輸入の市場原理主義による「改革」が進められています。高齢者・病人などの弱者切捨て、東京と地方、大企業と中小零細企業、貧富の格差の拡大、「マネーゲーム」の横行、「勝ち組、負け組」を公然と認める風潮が広がっています。

従来の自民党は産業の発展育成とともに「富の再分配」を図り、東京の富を地方に、中小企業の税金を軽く、大企業・金持ちからの税金を弱者・困っている人々にも配分する政策をとってきました。私が進めてきた「福祉・医療・介護・年金」の充実向上政策はこの具体化にほかなりません。この分配政策によって、わが国は貧富の差の少ない豊かな社会を作り、高い科学技術を持つ産業を育て、国民皆保険制度を整備して、長寿世界一を実現し、維持してきたのです。

「和」「助け合い」の心を大切に

私は過度の「競争原理」の強調を憂います。わが国は古来から「和」を尊び、助け合いの心を大切にする国柄でした。聖徳太子の「和を持って尊しとす」の精神は今も息づいています。自民党もまた、幅広い言論と行動を認め、弱者・敗者にも優しい心を注ぐ保守政党でした。自民党は復元力の大きな政党です。初志をわすれず、原点に返るべきです。

「ふるさと奉仕」は道半ば

ふるさと北九州は中小企業の多い町です。「市場原理」政策で勝ち負けを決めるのではなく、「助け合い」によって産業構造を転換し、蓄積された技術を発揮して高度な付加価値を持つ製品を生産する新時代の工業都市に変容させたいと思います。

今年は待望の新北九州空港が開港します。この空港をさらに国際空港に昇格させ、わが町をアジアに開かれた陸海空の玄関口に発展させたいと考えます。

「捲土重来」へ助走の年

自見庄三郎がふるさとに捧げる仕事はいまだ道半ばです。国と皆様のお役に立つ政治家を志し、国会議員となって22年、私は必ずこの初志を貫きます。

一日も早く国政の場へ復帰したいと考えています。イバラの道ですが、今年はその助走の年です。皆様のご意見を伺う行脚を続けます。よろしくご支援ください

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やっぱり地元の庄ちゃん

おかげさまで自見庄三郎は昭和58年(1983)の初当選以来、連続当選7回、議員歴は22年となりました。国土、通産両政務次官、衆院逓信委員長、郵政大臣を務め、また自民党組織本部長を務めたあと、昨年は衆院武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会の委員長として、有事関連諸法を成立させ、もってわが国の安全保障と外交、防衛の59年ぶりの構築強化に寄与することができました。

22年の議員生活の間、一貫して自由民主党所属の国会議員として、国家とふるさとのために、まじめに一生懸命に働いてきました。私は21世紀の日本に必要な「構造改革」を支持しています。

平成13年の自民党総裁選では、小泉応援団の「副団長」(団長は山崎拓氏)として全力投入し、小泉総理の予想外の当選に尽力しました。郵政大臣を務めたがゆえに、今回の未熟さがよくわかる「郵政民営化法案」には反対しましたが、真の郵政改革は断行します。さらに、そのほかの改革政策にはすべて支持協力しています。私は今後、初当選時の「初心」を貫き、40年来の自由民主党員として、改革による日本の再生、ふるさと北九州市の発展活性化に全身全霊を注いで働きます。皆様にお約束する私のこれからの仕事は次の通りです。

◇いきいき躍動北九州◇

(1)日本の再生には地方の発展・景気の回復が不可欠です。平成13年5月に、北九州市は全国で53ヵ所の「都市再生事業」の重点的都市のひとつに指定されました。北九州市ルネッサンス計画実現のお手伝いを続け、都市整備をさらに進めます。

(2)「高度科学技術と環境保全技術で世界を主導する国家」が私の理念です。北九州は高い技術集積があり、この目的を達成する最適の都市です。小倉北区のAIMビルに列島を縦断する大容量光通信ネットワークの「北九州IT研究開発支援センター(ギガビットラボ)」を約800億円の予算で誘致開設し、この回線を2.4ギガビットから10ギガに増強しました。九州の自治体では最大の能力を持ち、この回線を利用して新時代の情報管理ネットワーク「ユビキタス」の研究開発が行われているなど、北九州市はいまや、世界的なIT研究のメッカになりつつあります。高度情報通信産業の振興育成にずっとかかわってきた私は、この潮流をさらに発展させ、郷土・北九州市を高度情報通信都市に成長させます。また、学術研究都市など21世紀に飛躍する新しい国際技術都市として北九州市を再生させます。

(3)1)項の「都市再生事業」により、新北九州空港は「都市再生プロジェクト」の第2次指定(平成13年8月)を受けました。この内容は「新北九州空港はその需要を考慮し、空港のアクセスの確保について検討する」というものです。それ以後、新北九州空港の建設について、私は力いっぱいお手伝いしました。平成15年暮れの補正予算で当初予算51億円の2倍に当たる100億円を計上させ、それまでの遅れを一気にとりもどしました。「庄ちゃんの逆転満塁ホームラン」といまだに北九州市民の語り草になっています。そして、ついに新空港は来年3月、開港の運びとなりました。今後、アクセスの東九州自動車道の整備や軌道系アクセスの検討も進めます。増便などソフト面の推進にも力を注ぎます。

今後この新空港を国際空港に昇格させます。滑走路を延伸、さらにもう一本新設して、東京、上海まで等距離、騒音問題のない24時間運営可能な海上空港、と言う地の利を生かし、わが国最初の本格的国際空港とします。また、北九州港のスーパー中枢港湾の指定を受け、エコタウンの建設推進、響灘ハブポートの振興とあいまって、北九州市を東アジアの玄関口として発展させます。

(4)新しい都市づくりに基づき、自民党中小企業調査会会長代理として、中小企業対策にも力を注ぎ、資金政策、雇用拡大政策、ベンチャー育成政策に力を注ぎます。

(5)医師でもある国会議員として「福祉のまちづくり」も進めます。介護保険の導入の際、小倉北区を全国より2年先駆けてテスト地域として実施させました。小学校区・行政区・市の三層構造で福祉・介護・医療サービスの地域福祉ネットワークを形づくる「北九州方式」の推進に協力します。

◇信頼できる社会保障◇

(1)現在最も緊急の政治課題は「公的年金への国民の信頼回復」をはじめとする社会保障制度の整備充実です。医師出身で、医療・福祉の現場をよく知る数少ない国会議員として「誰でも、どこでも、いつでも」をモットーに「国民の医療・福祉・年金・介護の充実向上」を私のライフワークとし、世界に誇る国民皆保険制度を守り、国民の健康を増進します。

(2)公的年金制度への国民の信頼を回復します。前回の総選挙でお約束した若い現役世代の年金制度に対する理解と信頼を高めるため、法律を改正して「ポイント制の導入」を実現しました。これは保険料の納付に伴い、年金ポイントが増加していく制度なので、自分の拠出実績が確認できるうえに、将来受給する年金権が着実に増加することが実感でき、老後の生活設計がしやすくなります。さらに、乱脈運営など多くの問題が噴出した社会保険庁に関して、私は改革を目指す衆参両院議員100人以上が参加した「社会保険庁を解体して新しいシステムを創る議員連盟」の会長として、社会保険庁を事実上解体しました。現在新しい保険料徴収システムを構築している最中です。来年の通常国会に関連法案を提出し、平成20年秋に年金業務の新組織を設立します。こうした政策を着実に実現しつつ適正負担・適正給付の原則を守りながら、持続可能な日本型社会保障制度を充実し、長寿世界一を守ります。

(3)税と社会保険料負担をあわせた国民負担率を50%以内に維持する目標を掲げて歯止めを設け、将来にわたり活力を失わないような税制と安心・安全な生活が送れる社会保障制度を作ります。さらに、公務員を含めたサラリーマンの年金制度の一元化を推進し、いわゆる官民格差の是正を進めます。あわせて、非正規労働者も厚生年金に加入できる改正を目指し、年金への信頼と安心をいっそう強めます。

(4)この財源には、ただちに消費税引き上げという安易な手段は取らず、まず行財政改革によって財源を得ることを第一とします。

(5)社会保障の基本である医療・福祉・年金・介護について少子高齢化社会のもと、若者と高齢者が支えあう公平で持続可能な制度を構築します。国民皆年金を維持するため年金制度は基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げます。

(6)全国保育問題議員連盟会長として、保育園補助の一般財源化に反対し、全国の「待機児童ゼロ作戦」を進めます。

(7)日本の人口は減少に向かっています。出産の際のアクシデントに備え、公的な補償制度を新設します。お産をするお母さんも、産科の医師も安心して出産ができる制度を構築して、人口増対策のひとつとします。

(8)私は「がん征圧国会議員連盟」の事務局長(会長は中曽根康弘元首相)を務めています。これまで、2期20年にのぼるがん征圧10カ年計画をすすめ、200万人のがん患者が治癒しました。16年度から新10ヵ年計画がスタートしました。がんの原因を究明し、予防の推進、治療水準の向上のため、がん情報の提供体制の整備など患者本位のがん対策を進めます。

(9)建築材料の「アスベスト」の人体への被害が明らかになり、社会問題となっています。この対策が遅れ、しかも対策は7省庁にわたっており、タテ割り行政の弊害が出ています。この問題を解決できるのは医学博士で公衆衛生の専門家、しかも閣僚経験のある私しかできません被害者の救済、予防対策を早期に確立します。

◇景気回復・雇用の拡大◇

(1)景気回復は踊り場にあると言われますが、まだまだ地方と中小企業の景気は十分ではありません。雇用を拡大し「活力ある経済」を再生します。

(2)景気対策と科学技術の振興発展に寄与する政策として、15年度に1兆2千億円の研究開発・IT投資減税を実現させました。この減税は3年間にGDPを6.1兆円押し上げ、40万人の雇用を創出しました。18年度以降もさらに延長するよう力を尽くします。

(3)中小企業調査会長代理として、地域における中小企業金融を円滑化させます。事業再生および創業・新事業進出・経営相談の支出機能を強化しつつ、担保・補償に過度に依存しない融資を進めるなど、地域密着型金融(リレーションシップ・バンキング)をいっそう推進します。

(4)「まちづくり3法」を見直し、都市機能の市街地集約とにぎわい回復を理念とする基本法的な法律を次期通常国会に提出します。

(5)ベンチャー企業を援助し、新たな起業を育成する政策を進めます。大学や大企業発の研究開発型ベンチャー支援策を拡充し、地域経済活性化を進めます。

(6)北九州市では港湾特区、ロボット特区などが指定されました。経済の活性化を図るため、今後も定期的に提案募集をし、多くの地方団体や民間の提案を実現し、成果の上がった特区を全国展開します。

◇科学技術・IT振興◇

(1)技術力で世界をリードする科学技術創造立国を目指します。

(2)自民党科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会の事務総長を足掛け8年にわたって務めています。2001年度からの5年間で政府研究開発投資の総投資額を24兆円(前の5年間は17兆円だった)とする第2期「科学技術基本計画」を着実に実施しました。18年度から第3期5カ年計画に入りますが、このほど、私の主導で5年間に26兆円を計上するよう、政府に求める決議をしました。宇宙開発、スーパーコンピューターなど世界最高水準の「科学技術創造立国」を実現します。特にライフサイエンス(バイオ)、ナノテクノ・材料、情報通信(IT)、環境、の重点4分野において世界最先端、最高度の技術開発力、実用化へ向けた応用力を獲得します。この4分野は、科学者である私の最も得意とする分野です。私の知識と経験をフルに使って、わが国とふるさと北九州のこの分野の研究・産業のレベルアップを果たします。

(3)この世界一の技術力から生み出す高付加価値製品や高度技術の輸出を盛んにし、産学官連携の新たな知的財産立国を実現し、日本経済を再生させます。

(4)私の主導で列島を縦断するギガビットネットワーク(約800億円)を実現し、この研究基地が小倉北区のAIMビル内に開設されました。これを平成16年度には10ギガビットにバージョンアップしました。地方自治体では九州最大の容量を持つ研究施設で、世界中から注目されている、先端技術施設です。この大容量通信回線を利用して、新時代の情報管理ネットワークの「ユビキタス社会」づくりを進め、北九州市のギガビットラボをユビキタスセンターとします。

(5)白黒→カラーに続くテレビの革命である地上デジタル放送転換に着手し、推進中です。208兆円の経済波及効果があり、景気回復に寄与します。

◇守ります日本の安全と平和◇

(1)昨年の通常国会で、衆議院武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会の委員長を務め、国民保護法を中心とする有事関連諸法を成立させました。59年ぶりにわが国の安全保障、外交、防衛の構築強化に寄与でき、とても名誉に感じています。

(2)日米同盟を基軸に国際協調を重視しつつ、イラク・アフガニスタン復興支援、人類共通の敵であるテロ撲滅等、国際社会と協力した平和外交を推進します。

(3)中国・韓国など近隣諸国との損なわれた信頼関係を改善し、アジア「共同体」構想を推進します。

(4)北朝鮮に対し、対話と圧力により日朝平和宣言の誠実な履行を求め、また、6カ国協議等を通じた国際社会の協力も求めつつ、拉致・核・ミサイル問題の包括的な解決による国交正常化の早期実現を目指します。

(5)国際平和協力のための基本法を制定し、わが国の国際協力姿勢を内外にあきらかにします。

(6)犯罪の低年齢化、国際化が進んでいます。「治安の良さは世界一」との評判を回復するために国民が安全で安心して生活できる国づくりに力を注ぎます。北九州市でも市民の安全・安心な生活を守ります。

◇地球環境を保全◇

(1)自民党環境問題調査会長、国連公認のNGO団体・地球環境行動会議(GEA)の副会長などを務め、環境政策のリーダーと自覚しています。地球温暖化防止条約の京都議定書の批准、PCB処理制度の創設など、公害の防止、救済対策に尽力しました。

(2)経済と環境の統合は21世紀における人類的課題ではあるが、「環境税」に関しては、国民の意識の変革、企業の自主的取組みを高く評価し、地方における景気の低迷も踏まえ、増税実施を全力を挙げて阻止します。

(3)環境保全と経済発展は対立するものではありません。環境と経済の両立させながら、高度な環境技術と環境ビジネスで世界を主導し、3R運動(リデュース=発生抑制、リユース=再使用、リサイクル=再生利用)の循環型社会づくりをすすめます。北九州市のエコタウンの育成発展に協力し、北九州市を世界に誇る環境保全都市に発展させます。

◇農漁業の振興と安全な「食」の供給◇

(1)食糧・農業・農村基本計画の見直しが行われました。食糧の安定供給を確保、食糧自給率45%の達成のために新基本法に基づき、食糧供給力を確保し、生産性の向上、食育や地産地消、食品産業との連携を進めます。また農業の後継者、担い手の育成政策を進め、日本の風土、地勢に合った農業を発展させます。集落営農の組織化・法人化や新規就農の促進等により、意欲と能力のある担い手を育成・確保するとともに、地域農業を支える経営に対する品目横断的な経営所得安定対策を推進します。

(2)北九州では、都市近郊型農業として、軟弱野菜、花卉、またタケノコなど特産物の振興のお手伝いをし、生産者と消費者間の交流を進めます。

(3)自民党「食の安全確保特命委員会」の副委員長として、食品安全委員会の設置を中核とする食品安全基本法の枠組みを作り、成立させました。医師の専門知識を生かし、残留農薬等の規制や輸入食品の監視指導を強化し、食品の安全と国民の信頼確保を目指します。BSE(いわゆる狂牛病)や鳥インフルエンザなどへ適切に対応し、トレーサビリティ・システムの導入促進、食品の産地表示の充実、適正化を進めます。消費者が安心できる安全な「食」の供給・監視体制を充実強化し、「食」への信頼を回復させます。

◇世界に翔ぶ人材立国◇

(1)今わたしたちに求められているのは、日本人としての誇りを持つことです。家族・家庭を大切にし、豊かな個性と創造力、歴史や伝統・文化に誇りを持ち、あわせて国際感覚豊かな人づくりを目指して教育改革を進めます。

(2)教育基本法を改正し、教師と子供、親が信頼で結ばれ、公徳心と公共の精神、国を誇りに思う心が自然と身につくような教育の実現を目指します。

(3)知育、徳育、体育、食育による「人間力の向上」を目指し、学校や家庭という場所だけではない幅広い教育、例えば、すべての子供たちが奉仕活動・体験活動を経験するといった「豊かな心」の育成に努めます。

(4)「幼児教育重視の国家戦略」を展開します。保育園、幼稚園の幼児教育機能の充実を図るとともに、幼児教育の無償化を目指します。子供の人間力向上のため児童福祉政策、教育政策、労働政策の連携をいっそう強めます。

◇男女共同参画社会の推進◇

(1)女性の職業意識の高まりに応え、育児・介護休業法を改正しました。両親が働きながら、男女共同で子育てできる環境を整えます。

(2)働く意欲のある女性が企業やNPOなどで活躍できるチャレンジ支援策や、子育てなどでいったん仕事を中断した女性の再就職支援策を推進します。

(3)安心して子供を産み育てながら働くことのできる社会づくりを推進するため、「仕事と子育ての両立支援策の方針」により家庭・地域・職場における総合的な対策を進めます。

(4)児童手当制度や子育て支援税制についてあわせて検討を行い、欧州で出生率が回復・安定している国における「社会全体で負担を分かち合う」との考え方を念頭に、子育て期の経済的負担を軽減させます。

(5)少子化が進んでいます。出産時のアクシデントに備え、公的な補償制度を新設します。お産をするお母さんも、産科の医師も安心して出産ができる制度を構築して、人口増対策のひとつとします。(再掲)

◇簡素で効率的な政府を目指します◇

(1)小泉政権の5年間ですでに10兆円の歳出改革を実施し、私もそれを支持支援してきました。今後さらに歳出・歳入一体の改革により、2010年代初頭に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を実現します。

(2)民間賃金の動向や地域による格賃金差の動向を踏まえ、国家公務員の給与・退職手当体系の見直しを行います。また、定員についても思い切った純減を実現し、総人件費を削減します。

◇持続的な真の郵政改革を進めます◇

(1)郵政改革は進めるべきです。私は第123代郵政大臣を務め、130年続いた国の直営の郵政事業を改革し、民間企業の効率性と公共性をあわせ持つ公社を作りました。今後は、国民の利益と国益にかなう持続可能な真の改革を断行します。

(2)4年前、小泉政権の誕生のときから、「構造改革」を支持して来ました。自民党総裁選では「小泉応援団の副団長」(団長は山崎拓氏)を勤め、小泉氏の総裁就任に寄与しました。特区の設定、環境政策など改革を支持し、政権を支えてきました。

反対したのはたった一つだけ。今回の「未熟、欠陥の多い民営化法案」だけです。多くの法案があるのに、たった一法案のみへの反対で、トータルに自由民主党議員の地位を否定し、国会を解散し、議員の資格を奪うことは、納得できません。

(3)しかし、私は40年にのぼる自由民主党員です。22年間一貫して、自民党が野党の際も、自由民主党所属の国会議員として、国家国民のために一生懸命に働いてきました。ふるさと北九州の発展活性化のために精魂を尽くしてきました。現在も地元、北九州の中心である小倉北支部の支部長を務めています。これからも自由民主党所属の国会議員として働きます。有権者の皆様はこの私の主張をご理解いただくよう心からお願いいたします。

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首相官邸に科学補佐官を-理系技術者の地位向上で提言

自見庄三郎代議士は平成15年5月23日付けの毎日新聞東京本社版朝刊(西部本社版は26日夕刊)の「理系白書私の提言」で、理科系の科学者・技術者の地位待遇の向上を訴え、その政策を提言しました。医師という技術者でもある自見代議士は自民党の科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会の事務総長をこれまで6年にわたって務め、科学技術の振興に力を注ぎ、多く業績を上げています。技術者の地位向上にも意を注ぎ平成11年に「ガラスの天井」と題した調査報告書を作って、技術者の権限・地位・待遇の向上を訴え、政官界から高い評価を受けました。

自見代議士は通産政務次官、衆院逓信委員長、郵政大臣など科学技術に関連が深いポストを歴任、その振興発展に力を注いできました。列島を縦断する大容量通信網「ギガビット」、また今年末から始まる地上デジタル放送はいずれも自見代議士が郵政相の時に決まり、北九州市にも中継基地、実験基地があります。

科学技術の振興に奔走

科学技術の振興発展には理科教育の充実と理系技術者の地位待遇の向上が欠かせません。自見代議士は児童の理科離れ対策にも深くかかわり、理数科教育を重点に行う「スーパーサイエンスハイスクール」の指定や、ノーベル賞受賞者との懇談などで理科教育の向上に実績を上げています。

人材登用の多様化も提言

また平成10年、理系技官の地位向上のために「人材活用の多様化・流動化推進委員会」を発足させ「化学的に裏打ちされた政策が将来の日本の発展を左右する。技術系など多様な人材が各省の中枢に登用されるべきだ」と人材登用の多様化を提言しました。

この結果、平成13年に閣議決定された公務員制度改革大綱では「事務官、技官の別は廃止する」と記され分離格差を否定する方針が打ち出されました。

自見代議士はわが国の科学技術立国のために力を尽くしています。以下は毎日新聞に掲載された自見代議士の提言です。

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霞が関の文系偏重 政策見誤る元凶だ

38歳で政治の世界に入って、角栄さん(故・田中角栄氏)からこう言われました。「米国帰りの医者だなんて、生意気に思われるから吹聴するな」。永田町(政界)では、留学経験のある理系人自体、珍しかったのです。状況は今もそれほど変わっていない。霞が関(官界)も、圧倒的な文系支配です。

キャリア官僚一年生の55%は理系なのに、トップの事務次官では13人中1人。局長級もきわめて少ない。「理系の大半は課長どまり」が常識です。技術官僚を低い位置に置いていた明治政府の亡霊が、百年たっても居座っている。

科学技術は国家の基盤

中国を見てください。胡錦涛主席、温家宝首相はじめ、政治の中枢に当たる政治局常務委員9人は全員が理工系。国務院(行政機関)上層部の半数、主要59企業トップの6割が理工・医学系出身です。

外国では、科学技術は国家の基盤であり、発展の原動力です。日本はいまだに、合理的判断より秩序が優先されるシャーマニズム(宗教的な)政治がまかり通っている。これでは国際競争に参加できません。

首相官邸にサイエンス・アドバイザー(科学補佐官)を置くことを提言します。科学技術の成果を首相に解説し、日本としてそれをどう扱うかを進言する役割です。

科学技術政策の司令塔といわれる「総合科学技術会議」は、月に1度しか開かれない。アドバイザーはもっと臨機応変に、科学技術を政策に生かすチャンネルとして機能します。

逆輸入で知る日本の実力

「謎の素粒子ニュートリノに質量がある」という、日本発の大発見に、最初に反応したのは米クリントン大統領(当時)。これも大統領付きの科学補佐官のお膳立てと言われています。日本の実力を「逆輸入」で知る愚は、ノーベル賞の例でも明らかです。

人事政策改善せよ

科学技術の可能性を的確に評価する力は、やはり理系のほうが強い。文系ばかりだと、それが「幹」か「枝葉」かを見極められず、ともすれば枝葉の部分に予算を多く配分してしまう。

だから官僚の人事政策の改善を絶対にやるべきです。政策決定にかかわる局長以上の幹部に、理系を増やす。今の技術官僚に最も欠けているのは「権限」です。

理系のエゴまで代弁する気はありませんが、暖流と寒流が出会う「潮目」が良い漁場になるように、適材適所で人材を登用し、文と理のベストミックスを実現すべきです。

理系人材育成法も有効

もう一つ、優れた科学者・技術者にはスポーツ選手や作家並みの報酬を保証する仕組みを作るべきです。並外れた才能の持ち主でも、職制上、組織から独立しにくいため、横並びに甘んじている人が大勢いる。例えば特許に絡む制限をさらに緩める。現行法下で難しいものなら改正すればいい。「科学技術人材育成法」のような新法を作り、国として支援するのも有効です。

写真は、北九州IT研究開発支援センター開所式で説明を聞く自見代議士(北九州市の学術研究都市で平成14年4月22日)

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おかげで庄ちゃん20年

おかげで庄ちゃん20年

21世紀の3年目を迎えました。今年の政治に求められる最大の、そして最も急がれる課題は景気回復です。デフレを克服し、雇用と中小企業の経営を安定させ、もって日本経済を再生の軌道に乗せることです。自見庄三郎代議士はこの課題を1日も早く実現すべく懸命に働いています。特に、ITをはじめとする科学技術の振興発展とそれによる経済再建こそ、自見代議士のライフワークのひとつで、新しい国づくりの大黒柱です。

衆院予算委筆頭理事で奮闘中

自見庄三郎代議士の議員歴は20年目となりました。当選連続6回、国土、通産政務次官、郵政大臣を歴任、昨年は自民党組織本部長の職を卒業し、現在は衆院予算委員会の筆頭理事として予算議案のスムーズな審議、成立に力を尽くしています。筆頭理事に就任早々、予算委で党を代表して質問に立ち、小泉総理ら各大臣に経済政策を質しました。

昨年末に発表された平成15年度の政府予算案では、厳しい財政難の中で、将来の発展につながる4つの分野に重点配分しています。

それは①教育・文化、科学技術、IT②魅力ある都市・個性と工夫に満ちた地方の形成③高齢化社会・少子化対策④循環型社会の構築・地球環境問題への対応 ――の4点です。つまり自見代議士が従来から力を入れて、実現、充実をしてきた政策ばかりなのです。

特に第1点の科学技術・ITは医師出身の自見代議士の得意とする分野です。通産政務次官、衆院逓信委員長、郵政大臣と、科学技術、中でも高度情報通信分野はその草創期から育ててきました。例えば、列島を縦断する大容量通信網「ギガビット」は自見代議士が郵政大臣の時に生まれ、情報通信の大幹線となり、北九州市にもその中継基地があります。また、今年末から始まる地上波デジタル放送は、200兆円の経済波及効果のある大事業ですが、これも自見代議士郵政相の時に決まり、準備が進められて来たもので、北九州市に実験基地があります。さらに、北九州市の「学研都市」はこれも計画段階からお手伝いし、一昨年オープン。いまや産学協同の高度技術研究のメッカとなっています。

高度技術で世界をリード

新技術、高度技術によって製品の付加価値を高めて世界をリードし、日本経済を再生させる。高度技術を習得するには、研究開発体制を充実しなければならない。知的財産、「頭脳」こそこれからの日本の産業の生きる道だ――これが自見代議士の日本経済再生の基本理念です。

科学技術、エコビジネスで経済再生

自見代議士は自民党の科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会の事務総長をこれまで6年にわたって務め、科学技術の振興から児童の「理科離れ」対策にまで気を配り、予算の確保に力を添えています。既に平成13年度以来5年間に24兆円の科学技術振興のための支出を確保しています。さらに15年度予算では、企業の研究開発投資とIT投資に対して各5千億円計1兆円の減税を実現しました。

科学技術の振興発展とこれに連動するエコビジネスによる日本経済の再生――自見庄三郎代議士は今年もこの目標に向かって力強く前進します。20年目を迎えた自見庄三郎代議士へのご支援ご鞭撻を今年もよろしくお願いいたします。

ノーベル賞の小柴さん、田中さんと懇談ノーベル賞の2人を迎えて開いた自民党の科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会

昨年のノーベル賞のダブル受賞はわが国科学技術のレベルの高さを世界に示し、国民に大きな希望と誇りを与えたカンフル注射でした。

自見庄三郎代議士が事務総長を務める自民党の科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会では、昨年11月11日、物理学賞の小柴昌俊さん、化学賞の田中耕一さんを招いて話を聞き、懇談しました。

小柴さんは「将来の科学技術に役に立たない研究でも、人類の知的な進化につながる基礎的な研究には国の支援が必要」と述べ、田中さんは「常識にとらわれない自由な発想を。減点主義ではなく、失敗を恐れず挑戦する精神を尊重し、よい所を褒める加点主義が大切」と語り、共感を呼びました。

写真は、ノーベル賞の2人を迎えて開いた自民党の科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会。正面の受賞者2人の左に自見同会事務総長。

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経済再建、デフレ克服、中小企業の経営安定・振興に全力を注げ-臨時国会予算委冒頭に質問

自見庄三郎代議士は平成14年10月に開いた臨時国会で衆議院予算委員会の筆頭理事に就任しました。今年1月までは同委の次席理事を務めており、いわば古巣に復帰して、その「運営責任者」になったわけです。自見代議士は小泉総理の所信表明演説、各党の代表質問に続く同24日、予算委の冒頭に質問に立ち、経済問題を中心に政府の対策を質しました。

現在政治に求められている最も緊急な施策はデフレ不況からの克服、あるいは総合経済対策です。デフレを克服して経済の再生に道を開き、自立的成長の軌道に乗せるために、現在わが国が直面している危機を乗り切り、国民生活を安定させ、信頼を回復させなければなりません。

そのためには、不良債権という重い足かせを解消し、財政・税制・金融・産業政策のあらゆる面から具体的な緊急経済対策をスピーディに実施し、活性化に向けて刺激を与えなければなりません。

今後、着実に市場拡大が期待される元気のある産業分野があります。「介護ビジネス」「環境(エコ)ビジネス」「お弁当・お惣菜を製造販売する中食(なかしょく)産業」「情報ソフトサービス」「情報機器(ハード)産業」です。こういう伸びつつある部門はしっかり伸ばすことが必要です。

自見代議士はこう前置きをしたあと「国民が不安を抱くメッセージではなく、銀行も企業もしっかり立て直すという強いメッセージを出すことが大切だ」と述べ、政府の経済再建についての強い意思表示を求めました。

また、竹中平蔵金融・経済財政担当大臣が雑誌インタビューで「大きすぎてつぶせない銀行はない」との発言の真意を質した上で、「誤解を招く発言は気をつけてほしい」と求めました。

さらに、銀行の自己資本に関する会計ルールの変更について、「国際的に認められているルールを変更して、自己資本比率を減少させるのは逆だ。変更すべきでない」と主張しました。

不良債権処理の加速化による影響の緩和策として、セーフティネットの構築、特に中小企業対策について、「融資制度の充実強化、減税などあらゆる面から対策を講じるべきだ」と述べ、制度拡充の具体策を引き出しました。

質問の冒頭で、日朝の国交正常化交渉にも触れ、拉致問題に関しては家族の意向を十分に尊重して交渉に臨むよう強く要望しました。

写真は、小泉総理ら閣僚を前に質問する自見代議士

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予算委での自見代議士の主な質疑は次の通り

日朝正常化交渉

自見代議士
拉致問題の解決に際しては家族の会の意向を十分に尊重して交渉に臨むべきだ。また、核開発断念の保障なしには日朝正常化はありえないとの強い態度で臨んでほしい。
小泉総理
国交正常化交渉で拉致問題、安保上の問題、過去、現在、将来の問題を総合的、包括的に交渉する。安全保障上の問題は韓国、米国にとっても大きな懸案であり、日朝平譲宣言の原則にのっとり、約束が誠実に実施されるように強く働きかけたい。

経済の現況と見通し

自見代議士
総理の経済に対する現状認識は。
小泉総理
暗い面ばかりでなく明るい面も見て、その部門を伸ばすべきだ、という自見議員の見解に同感だ。不良債権処理、景気、経済再生に取り組む。賛否両論あるが、当初の予定通り構造改革を進めていく。

セーフティネット

自見代議士
銀行の不良債権処理によって貸し出しが引き締められ、経営が苦しくなる中小企業のセーフティネットの構築が重要になる。対策は。
平沼経済産業相
地域金融機関の店舗統廃合などにより苦境に立たされる中小企業のため、セーフティネット保障枠を拡大し「中主企業信用保険法」の改正を今国会に提出する。さらに、商工中金の「貸し渋り無担保融資制度」を拡充する。
坂口厚生労働相
それぞれ地域の雇用条件が異なることから地域に見合った雇用対策を進める。また、ミスマッチの解消に、ハローワークにキャリアカウンセラーを配置してキメ細かく相談に応じる態勢を作る。

不良債権の処理

自見代議士
不良債権処理の加速に関する基本的な考えはどうか。どのように不況脱却の経路を描いているか。
竹中金融・経済財政担当相
不良債権処理の問題は2004年度に終結させるよう首相から大変厳しい命を受けている。「歳出」「歳入」「金融システム」「規制」の四本柱の改革を同時並行に進める。金融庁のプロジェクトチームで中間報告する考えだったが、金融だけが先に出てマーケットに混乱を与えてはいけないので、月末にセーフティネットの問題などを踏まえて総合的に示したい。

週刊誌発言の真意

自見代議士
ニューズウィーク誌での「大きすぎてつぶせない銀行はない」という発言の真意は。
竹中担当相
英語で応じたインタビューを意訳された。一般論として企業経営と企業規模について議論した。タイトルに「大きすぎてつぶせない銀行はないという竹中」とあるが、言ってない。弁護士を通じて出版社に抗議し、訂正を求めている。しかし、結果的にそういうことが報じられたのは私の不徳の致すところだ。

銀行の経営

自見代議士
公的資金投入は銀行の国有化が目的ではない。税効果会計ルールはこれまで国際的にも認められたルールだ。急に変えるべきではない。
竹中担当相
この問題は詰めるほどメリットとデメリットが出る。四方八方うまく収まる道はないが、その中で狭い選択をしなければいけない。

減税

自見代議士
ノーベル賞のダブル受賞で、わが国の技術研究のレベルの高さが実証された。企業の競争力強化や産業構造の改革を進める観点から、税制面で研究開発減税や、情報化投資、いわゆるIT減税を進めるべきだ。
塩川財務相
税制改革で試験研究費に対する十分な減税措置を講じる。あわせてITの周辺地域にも優遇税制を実施し、設備投資に対する特別償却制度も導入したい。

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「環境」で世界を指導する国家に

1.21世紀日本の転機

20世紀の日本は、前半は戦争の時代、後半は経済の時代であった。前半は「富国強兵」により、国家としての独立を目指したが、結果として東アジアへの拡大から戦争を引き起こし、世界に孤立することとなった。

これが破綻したのちの後半は「経済成長による繁栄」を目指した。東西の冷戦構造に乗じて日本は「唯経済主義」に徹し、いったんは経済的繁栄を手中にしたが、20世紀の最後の10年、この「覇権」は霧消した。

冷戦の終結後の新たな国家戦略を欠き、新しい国際体制、経済体制に対する国内のすべての体制づくりが遅れたことが、わが国の停滞の主因である。

繁栄の時代にあっても、「経済至上主義国日本」の自由主義陣営での役割は、豊富な資金の提供者に過ぎなかった。

21世紀。東西冷戦が終結し、世界は変わった。その中で、日本はいかなる国家を目指すべきだろうか。緊急の課題である日本経済をどう立て直し、いかなる面で世界をリードすべきであろうか。

「経済大国」を実現した20世紀後半の日本は、多くの国家的課題を呈したことも事実である。

教育の荒廃、核家族化による家族・個人の孤立、創造的文化の停滞、公務員の不祥事や不作為の続出、犯罪の増加による安全神話の崩壊、起業意欲の低迷、そして、国を守る気概の低下などである。 経済だけが唯一の価値ではない。

2.世界政策としての環境政策

世界の国々にとって、軍事力で世界をリードする「軍事的主導国家」や経済力でリードする「経済的主導国家」が必要である。 また、文化や宗教など、人々の内面生活を豊かにする分野で世界をリードする国や、高度な科学技術でリードする国もある。そして、世界的課題となっている環境問題についても、グローバルな指導性を持つ国家が必要である。

21世紀の日本は、軍事大国や、世界の資金源たる経済大国としての貢献を目指すのではなく、世界の環境政策をリードする「環境主導国家(環境立国)」を目指すべきである。

公衆衛生学・疫学を専攻した医師でもある私は、1983年の初当選以来の国会議員生活を通じて環境政策に力を注いできた。

現在は自由民主党の環境基本問題調査会長として、党内でも環境問題の指導的立場にあると自覚している。この立場から将来の世界における日本の国家像について「環境立国」を提唱するものだ。

環境安全保障

世界の環境政策は、カーター政権まではアメリカが世界を指導し、最近ではEUが主導しているといわれている。日本は、80年代以降、国内では環境対策を成功させてきたが、政策面でも技術面でも世界的な指導力を発揮するに至っていない。これは単なる政策のPR不足ということでなく、政策決定の構造的問題である。

資源や食糧を外国に依存している日本の発展と安全は、安定した国際社会においてのみ確保できる。地球温暖化や世界的な森林減少・砂漠化の進行、生物多様性や水資源の減少などの地球的規模の環境問題は、それぞれの国の発展基盤を脅かすばかりでなく、環境難民の発生や地域紛争の原因となりかねない。また、貧困を固定化し、テロ発生の温床となる恐れもある。

環境面の安全を世界的に確保すること、いわゆる「環境安全保障」は、日本のみならず、世界の安定のためにも不可欠である。地球的規模の環境政策を実現するためには、自国に不利益があっても地球益を優先すべきであるという主張があるが、地球益といっても、結局は、それぞれの国に跳ね返ってくるものである。国益と地球益は反するものではない。

NGO,グリーン創造隊の増強

世界政策としての環境政策のもう一つの要素は、人材である。最貧国、開発途上国、中進国に根を下ろして働く日本人の人材育成と、日本と連携して活動するその国の人々への支援が必要である。

日本政府が行っている海外人材派遣は、現地の人々の能力向上を支援することを目的として専門家派遣が主であるが、これからは現地に根をおろして働く日本人を支援する方式を人的貢献の大きな柱とし、「顔の見える貢献」を拡大する。現在、海外青年協力隊やシルバー・ボランティア制度も設けられているが、現地で活動するNGOや日本人についても制度的支援の対象とする。環境活動を行う人々を「グリーン創造隊」として飛躍的に増強する。

地球環境保全の担い手として、NGOはいまや欠かせない存在に成長した。私も、国連公認のNGOである「地球行動環境会議(GEA)」の実行委員を務め、地球環境の保全策など政策提言を続けている。2001年11月には、カンボジアであった国連の「持続可能な開発に関するアジア太平洋円卓会議」に出席し、NGOに対する財政基盤強化の支援等を提言した。わが国においても政府とNGOが堅固なパートナーシップを確立し、開発途上国への支援、指導体制を確立することが必要である。

人的資金的資源の重点的傾斜配分

これまでも「環境立国」ということが言われてきたが、実現していない。それは、スローガンに終始し、具体的な政策的裏付けがなかったことによる。「環境立国」を国家の優先的政策として実行するため、教育・人材育成、雇用の場の確保、企業会計や統計整備から、国の予算、税、法体系や行政機構に到るあらゆる分野で、日本の人的資金的資源を重点的に傾斜配分を行う。このような実体的な裏付けをすることによって、環境主導国家を実現することができる。

3 環境と経済

21世紀の循環型社会の形成は日本経済の立て直し、発展と対立するものではない。「大量生産、大量消費、大量廃棄」の20世紀型ライフスタイルから「適量生産、適量消費、少量廃棄」の社会経済体制に変えることは決して経済成長を阻害するものでないことを国民が理解し、そのライフスタイルを変革し、産業の生産体制をそれに適応させる政策誘導が必要である。

これを勧めるための法律的枠組み、予算の充実を図る。そしてそれを促進するインセンティブとして、環境によい影響を及ぼすものは税を軽くして、悪い影響を及ぼすものには税を重くするという「グリーン税制」の拡大や国民各層の理解を得ながら「環境税」の創設を目指す。

すでに循環型社会形成基本法の基本的枠組みのもとに循環型社会づくりを推進する施策体系が着々と整備され、それに基づく「エコ・ビジネス」が急速に拡大しつつある。一般廃棄物処理、産業廃棄物処理、リサイクル合わせて現在10兆円とされる市場規模だが、2010年には40兆円産業に拡大すると予測されている。

「エコ・ビジネス」を拡大し、それによる技術革新、国内体制を整備し、この産業を日本経済の重要な部分を占め、経済の再建とともに、輸出産業としても大きく発展させなければならない。現在、「環境指導力」において優れているとされるEUと互角に競い、これを凌駕できる「指導力」をつけるためにも、「エコ・ビジネス」の飛躍は欠かせない国内的課題である。

4 環境文化

「新しい生産・生活文化を環境から発信する」、これが新しい日本の文化である。自然から無制限に収奪し、大量・有害な廃棄物を出し、自然や生態系をないがしろにする生産・生活様式は、わずか50年の間に経済至上主義が生み出した現象である。かつての日本人は自然と共生し、その文化は自然の一部であった。世界を指導する環境主導国家たる日本を形成するには、国内の環境政策の確立とともに、政策を超えた「適量生産、適量消費、少量廃棄の文化」として再び発展させたい。

生活を快適にする技術革新の恵みを享受しながら、日本人が持っている暮らしの知恵・価値を生かして、潤いのある生活へと改革していくことは、われわれの意思と努力によって実現できる。循環型社会の構成要因たる3R(リデュース=発生抑制、リユース=再使用、リサイクル)を推進するためには、最終消費者の意識改革を進めることが不可欠である。いわゆるグリーンコンシューマーの増加こそ、「環境主導国家」実現への不可欠にして最善の道であろう。(平成14年6月)

写真(左)北九州市若松区の総合環境コンビナートにある「北九州エコタウン」の「実証研究エリア」。環境研究施設や先進的エコビジネス企業が立地している(右)「エコタウンの」響リサイクル団地内にある自動車リサイクル工場

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環境と経済の両立を-成長分野「エコ・ビジネス」に期待

「環境と経済」の両立」は21世紀のわが国にとって重要なテーマです。小泉内閣では「循環型社会の形成」「ゴミゼロ作戦」といった施策を推進することで、国民生活の重要な基盤となる環境にやさしい社会づくりに取り組んでいます。また、環境保護のビジネス、いわゆる「エコ・ビジネス」もまた、新時代の成長分野として大きな期待を集めています。そこで、自民党環境基本問題調査会長である自見庄三郎が新しい日本の「成長エンジン」である環境問題について語りました。(これは自民党機関紙「自由民主」平成14年3月26日号に自見庄三郎のインタビューとして掲載されたものです)

100年続いたライフスタイル

――環境問題と経済との関係はどのようなものがありますか。

自見庄三郎環境基本問題調査会長 20世紀のくらしというのは「大量生産、大量消費、大量廃棄」というライフスタイルが、100年ぐらい続いてきました。政治も経済も何の疑いもなく、そういう社会を作ってきました。しかし、公害問題や地球的規模での環境問題が大きくクローズアップされてきました。特に、二酸化炭素などの大量廃棄により地球が温暖化しますと、海面が上昇して約2億人の人が暮らせなくなると言われています。

経済というのは、人々を幸せにするための方法なのに、このままでは地球上の2億人の人が住めなくなるわけです。それでいいのでしょうか。ですから「環境と経済の両立」ということになってくるわけです。地球環境を守るための経済の仕組みというのは、何も経済の発展を阻害するものではないと、ぜひご理解していただきたい。

40兆円産業に発展

――環境保護が経済の活性化にもつながるということでしょうか。

自見
そうです。環境の分野はいま、産業として非常に伸びています。平成9年の時点で24兆円産業となっています。平成22年には40兆円産業にまで発展すると言われています。産業廃棄物等の処理や、大気汚染ぼうしなどさまざまなエコ・ビジネスがどんどん成長しています。その後押しを行ったのが今回の予算配分と言えます。環境関係の公共事業もこの厳しい財政状況にもかかわらず伸びています。

PCB処理施設を整備

――新年度予算ではどのような部分に予算配分を行いましたか。

自見
一つあげますと、これは「ゴミゼロ作戦」の一環ですが、ダイオキシンの排出基準に適した焼却炉の設置です。旧式の焼却炉では、温度が低いからダイオキシンが発生するんですよ。ダイオキシンを発生させないためには、新しい焼却炉が必要です。それから、PCB(ポリ塩化ビフェニール)処理施設を整備しました。PCBはカネミ油症事件などでも、大変問題になった有害物質です。日本は30年近くもPCBを処理しないで、ためていただけです。保管の費用もかかりますし、紛失の恐れもあります。やっと今年、PCB処理施設を作ることになりました。環境事業団が責任を持って処理する施設に予算配分しました。

公害予防研究も優遇

それから、公害予防の研究開発にも大胆な措置を行いました。これは政府の科学技術基本計画の中でも「環境」は重点分野の一つとして挙げられています。また、グリーン税制と言われていますが、環境に優しい製品を購入した際に、税制での優遇措置も推進しています。

――家電リサイクル法が施行されて、クーラーや冷蔵庫といった家電品の処理コストを消費者が負担することになりました。

自見
はい。リサイクルも循環型社会の大きな柱です。1年間に5千万台くらい、家電製品の消費があります。1台5千円と考えますと、これだけで2千5百億円のマーケットができています。これも大きなビジネスですね。

技術輸出も積極的に

――エコ・ビジネスは海外への輸出ということもあるのでしょうか。

自見
今後、積極的にやっていかなきゃいけない分野だと思います。集塵装置などわが国には優れた技術が多くあります。海外への技術移転となると、ODAを活用するといった工夫も必要になってくるでしょう。

世界に通じる技術開発を

――そういった世界に誇れる新たな技術革新があれば、そこに新しい雇用も生まれているわけですね。

自見
そのためには、まず世界に通用する技術を開発することが必要になってきます。とくに京都議定書はいよいよ批准する段階に来ていますから、温暖化対策の技術革新は大きな課題です。産業界も前向きの姿勢で、チャレンジ精神で技術革新を進めてもらいたいと思います。今までも、日本の産業界は自主的な取組みが有効に機能していまして、世界でもトップクラスの環境対策を行っています。例えば、ここ10年の温室効果ガスの排出量も横ばいというのが現状です。さらに、日本の造船会社も今は船を作っているばかりでなく、7割ぐらいは焼却炉などの製造と言ったエコ・ビジネスだそうです。

経済活性化の起爆剤

経済界も不況下、産業空洞化の中で大変苦しい状況ですが、だからと言って地球環境をないがしろにしてもいいというわけではありません。積極的に取組むことが日本の経済、技術力を増すことになりますから、日本の経済活性化に大きなプラスとなることは間違いないと思います。

写真は環境対策に配慮した北九州市の皇ケ崎環境センターのゴミ焼却施設

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